第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
かなりの土埃を巻き起こして、テンギの柩車が走行している。
護送する騎士たちが必死に軌道を確保し、周囲を警戒している。
沿道に現れた合成生物、翼人と、剣閃を散らして攻防する姿が目に飛び込んだ。
敵を軌道の外側へ、押し返した所に隙ができてしまった。
そこを空から狙われる。
灰竜ヱイユは低空飛行に転じて、割り込もうとする有翼獣たちを蹴散らした。
「あれは、ヱイユ殿ッ!」
俄(にわか)に騎士たちが勢い付く。
喊声(かんせい)が上がる、怒号が迸る、敵兵が退く。
追って来なければ放っておいて構わない。
今は立ち止まっていることも、翻弄されることも許されないのだ。
テンギは性懲りもなくドシン、ドシンと柩の中で暴れている。
竜族も群がってきた。
彼らは混乱と異変を好むように暴れ狂った。
騎士たちが狙われる前に、竜を雷で撃ち落とす。
風圧で押し潰す。
衝撃で吹き飛ばす。
空へ、陸へと転戦するヱイユを、魔の一族は次第に遠巻きにするようになった。
ふと木陰に目を遣ると、彼が参戦したのを見てそそくさと逃げていく術士がいた。
まだ全回でないホッシュタスだ。