第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
「タフツァさん、よくぞご無事で・・・!!」
女性闘士シスキュスが部下を引き連れて来た。
続いて女スナイパーのユナーファ、物理アタッカーのルオミアの部隊が到着する。
アーダが担ってくれた役目を騎士たちが担い、ヱイユはテンギ輸送の隊列を追って飛び立って行った。
「みんなありがとう!
しばらくこのバリア内にキャンプを展開してほしい。
物資を運び込んで砦にしてもいい。
それまで僕が護るよ。」
以前、ファラがテンギを穴に閉じ込めたように、時限的に魔法をかけ置くことはできる。
また、過去の「封印」のように、全生命と引き換えて長期間の魔法効果を持続させようとしたこともある。
時限魔法は失効するし、「封印」とて破られてしまった。
タフツァが築いたバリアも、彼が立ち去ったなら、いずれ効果が失われてしまう。
敵の侵入も、内部での活動も許してしまうことになる。
テンギを同様のバリア内に拘束する案は、タフツァ級の術士が常に張り付いて、あるいは交代で、魔法を維持する必要があった。
これでは恒久的な解決にならない。
LIFEの指導者シェブロンは、こう考えていた。
『LIFEは飽くまでLIFEの目的を遂行する。
国や民族、個々の信条を問わず、万人の内なる“LIFE”を説き明かすことだ。
妨害する者には断固抗議し、その非を世に知らしめる。
迫害する者には、己の生命に背いた報いを厳然と現していけばよい。
善を育み、悪を打ち砕くためには、LIFEの当体である一人一人が、終生、“LIFE”を貫き通すことが不可欠である。』