第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
落ち葉を踏み鳴らす音を立てて、気付くとヱイユが歩いて来た。
上空に警戒しているであろうタフツァを気遣ってのことだ。
「ヱイユッ!
無事でよかった・・・!!」
「凄いことをやるな、フィフノスもお前も。」
居合わせた者なら目にした光景だが、未だに陽光を遮るほどのスモッグが立ち込め、木々は薙ぎ倒され、地表に隕石の破片や粉末が堆積していた。
その上、巨大な落雷の跡、竜巻の跡は、森の一部を消し飛ばしていた。
「フィフノスがイノシシの頭を持った合成獣に変化して騎士団の行軍を襲ったんだ。
魔力を奪おうとしたら、・・・あまりの量に、僕の全魔力がすぐいっぱいになって、キュキュラを撃ち続けることになってしまった。」
「それで先生が心配して俺を呼んだ、なるほどな。
このバリアの中に居れば敵は入り込めない。
お前の体力も休めば回復するだろう。」
「ここにLIFEの拠点を作る。
後は騎士たちに任せて、僕は首領を狙撃する。」
「一人では手に余る。
だから俺を、か・・・。
にしても、いいものだな、人間どうし会話するのは。」
そう言って無邪気に笑った。