第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
バサバサと翼をはためかせ、上空にドラゴンが飛来した。
「敵か、・・・いや、あれは・・・。」
アーダだ。
タフツァもそれと分かった。
「おーい、こっちだー!」
手を振って迎える。
木のない所に降り立った。
「ヱイユ、なのか!?」
はしゃぐように鳴き声を上げる。
ヱイユ本人ではない。
彼は灰竜の頬を撫でながら、周囲の状況を見回した。
「ここは戦場だ。
敵に警戒していてくれ。」
アーダが応える。
背中を任せられる仲間を得たことで、タフツァは攻めに転じることができるようになった。
「ある程度の範囲に“LIFE”の護りを・・・!!」
邪悪な発動を禁じ、味方を増進、敵を減退させる空間のバリアを立ち上げた。
「これで騎士団のキャンプにできる。
・・・周辺を見てくるよ。」
「クオォォーーーン!」
通信室を中心とするエリアを基地にできたことはありがたい。
しばらくの間、リザブーグから補給部隊の往復も行うことになるだろう。
フィフノスはこのバリアのためにぐったりしてしまった。
彼にとっては強い呵責の禁術として機能する。
「・・・これなら、敵の術士は行動できないのでは?」
城のほうから馬蹄の音が響いてきた。
プッゴス配下の斥候だ。
「タフツァさん、博士から補給品です。
こちらにルオミア、ユナーファ、シスキュスの部隊が向かっています。」
「女性の部隊か!?
危険過ぎるのでは・・・。」
「シェブロン先生のご判断です。
『これからは女性の声で戦乱を収めていく』と仰いました。」
「ありがとう、助かったよ。
君も気を付けて!」
各地にLIFEの砦、拠点を築くことは有効な戦略になる。
リザブーグ城下で、師シェブロンとスヰフォス学師が術士と戦士を育成していることが頼もしかった。
この流れを各国へ、全世界へ拡大することが重要である。