The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」

第 46 話
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タフツァは一瞬、目眩(めまい)を覚えた。
意思の力で振り払う。

滑走で術士を追いかける。
標的が木に激突した。

付近へ駆け寄る。
落下を緩衝する上向きの力を加える。

ただ助けてやるのではない。
今度は気を失わせるのだ。

短時間に魔力を失わせる「ショック」を用いる。

口をポカンと開けて気絶した、悪鬼の身柄は確保した。

あとはどうやって捕縛しておくかである。

攻撃型ロニネの輪で捕縄する。
倒木に腰を下ろした。

「こんなに魔力を使ったのは、初めてじゃないか・・・。」

放出しては供給を受け、キュキュラ(総力)を何回撃っただろう。
普通ならば死んでいる。

逃亡中のホッシュタスが気にかかった。
今、襲撃されたら・・・。

LIFEの通信拠点に近いと気付いて、フィフノスを警戒しながら立ち寄った。

リザブーグ城のスヰフォスを呼んでみる。

取り次ぎの兵が出て、待つことになった。

比較的速く応答があった。

「おお、タフツァ君か、動向は?」

それは師シェブロンだった。

「先生、ご心配をお掛けしております。
フィフノスと交戦し、捕縄しました。」
「そうか、君の体は?」

一瞬、言葉が詰まった。
この際、師に隠し事はかえって良くない。

「大地と、大気、敵から、供給を受けながら、・・・何度も総力発動を起こしてしまいました。」
「やむを得ないが極めて危険だ。
ウィロ君は?」
「戦闘になる前に帰還させました。」
「君一人だな。
救援があったほうがいい。」

しかし術士は出払っている。

「私が行くよ。」
「外はあまりに危険です。
先生の敵が多くいます。
今回も弟子にお任せください。」

そこへスヰフォスが応答に来た。

「タフツァさん、騎士団を手配しました。
術士に気をつけて、そこにいてください。」
「ありがとうございます。
先生には新しい弟子の育成を、どうかお願いいたします。」

通信機を置く。
ふぅー、と安堵の息を衝く。

フィフノスは目を覚ましていない。
ずっと注視していたのだ。

扉を出て施錠する。

風の音がやけに耳につく。

テンギの柩車は狙われていないだろうか。

交戦中、彼は合成獣を元の個体に分離するアンチ・マジックを試みた。

だが分離しなかった。

つまり、あの猪頭神ワヌラィーグ=シュトリッテオは今、合成獣としてではなく、フィフノスの召喚獣として扱われているようなのだ。

それだけでなく、彼自らが変化していたらしい。

悪魔結社マーラの首謀者がLIFE騎士団の護送を襲撃するという、未聞(みもん)の災禍となったのである。

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