The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」

第 45 話
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“LIFE”の絶大なファランクスが功を奏して、隕石は大気で燃え尽きた。
周辺に飛び散った破片がバラバラと音を立てている。

シュトリッテオは?
今、最も重要なことは追撃だ。

確保した車道に沿って、皆に声を掛けながらナズテインが来た。

「行軍を再開する!」

丸太を使い、テンギを戦場から遠ざける。

その間もズシン、ズシンと内側から柩が激震している。
だが“LIFE”の魔法陣に攻められて、却ってダメージを受けているだろう。

メカニックが動員され、車輪の修復が施された。

イノシシの魔力を奪って放ち返していたにせよ、キュキュラを何度も撃ったのだ。
タフツァは極限状態にあった。

それでも供給を受けながら敵を探した。
自らバリアで弾き飛ばしたシュトリッテオを。

そして影を見当てた。
滑走によって追跡する。

「出てこい、フィフノス!」

影は実にフィフノスのものだった。

両目が赤く光っていた・・・。

頭骨(とうこつ)にヒビでも入ったか、額から血を流している。

次の瞬間、起き上がろうとしているフィフノスの腹部へ滑り込んだタフツァが、振り上げた杖で力の限り突き上げた。

相手の身を軽くして宙に浮かせる彼の戦法だ。

しかしフィフノスは上手(うわて)である。
直撃を避けて更なる力で飛び上がった。

背中に六枚の翼を広げる。
バサバサバサと羽ばたく。

ここへ飛び込んでは思う壺だ。

飛ぶならば落としてやるほうがよい。

一気に地縛をかけると、引き千切るように抵抗した。

骸骨の杖を振り上げ、降り下ろすと同時に詠唱が了(おわ)っていた。

デモンズワールだ。
暗黒色の渦が、まるで地獄へ引き摺り込む悪霊の大群のように雪崩(なだ)れ掛かった。

“LIFE”のロニネを張り直す。
フィフノスの背後へ向かって走る。
怒濤の渦を掻(か)い潜(くぐ)る。

直線軌道の魔法弾を、素早く矢のような形状で撃つ。
背中からフィフノスを射貫く。

相手のバリアを破った。
下向きゾー(重力)が入った。

術士の体が空気抵抗で燃え上がるほどの高速が現じる。

衝突の打撃を受けるほど急に止める。

次は回転だ。
悪鬼は悔しがり、憤り、苦しみ喚き散らした。

暗黒色の魔力が大地に吸われ、七色のエネルギーとなってタフツァに注がれていく。

これくらいで懲りる相手ではない。
回転軸の外側へ術士の体を逸らすと、猛烈な遠心力で散々に痛めつけた。

更に上空へ引き上げる。
タフツァは離れる。

体液が、尿が撒き散らされている。

回転の半径を拡大する。
遠心力は一層、激しくなる。

術士が気を失いかけている。
だがはっきり意識を持ってもらわなければ困る。

暗雲が湧き、ゴロゴロと雷鳴する。

回転している円の中心軌道へ、一瞬のまばゆさと耳を聾(ろう)する爆鳴震(ばくめいしん)を伴って、天から太い光の柱が迸った。

大地が揺れ動き、大気が歪むほどの放電現象となった。

あとは魔法を解いて、フィフノスが吹き飛ばされ、自然に落下していく様(さま)を目で追った。

こちらの消耗も甚だしい。
しかし、捕らえねばならない。

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