The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」

第 44 話
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ウィロの馬車の進路に敵が群がってきた。

ドリュフォスが猛然と有翼類を撃つ。

「戦意をなくすまでにしてくれ、生命を奪うな!」

そう叫んだタフツァに翼人が襲いかかった。

横殴りにウタックの部隊が斬り込んでくれた。

「・・・大ボスが来やがった。
すまないが頼むぜ!!」
「助かるよ、剣に“LIFE”の魔法陣を!」

見事なものだ。
ウタックの剣があたった箇所に、虹の衝撃が起こっていた。

「よし、退却!
一心にリザブーグ城を目指すんだ。」
「わ、わかりました!」

躊躇すればタフツァの好機を逸してしまう。
少年御者は言われていた通り、テンギの南側へ馬車を返して帰還の途についた。

馬車を下りたタフツァは、人型イノシシ獣を召喚しているのは誰かと考えた。

上空にその姿を捉える。

猪頭神(ちょとうしん)ワヌラィーグ=シュトリッテオはいきり立ち、テンギの柩目掛けて突進した。

LIFE騎士たちに言った。

「盾に“LIFE”を!
接触せず、包囲してくれ!!」

柩にかけた“LIFE”の魔法陣が激しく光っている。
中でテンギが暴れ出したか。

タフツァは、ただ一つのことをしなければならない。

猪頭神とテンギの柩の、間に割り込むことだ。
滑走を使って一気に駆け入った。

走行と言えどもかなりの速度が出ている。
靴で激しくブレーキをかけ、シュトリッテオの突進を受け止めた。

あとは力任せに押されるだけだが、脚で柩を蹴るようにして、勢いを減退させていく。

木に激突した。
頑丈な柩は破損することなく木を粉砕した。

滑る、木に当たる、木を砕く。

緩衝のバリアで守っていても、ゼロダメージでは済まされない。

ようやく速度が収まった所で木に止められた。
イノシシを叩くのは今しかない。

長い杖で顔面を突いて、最大出力で押し返す。
水平に走る衝撃波の反撃が来る。

アンチ・トゥウィフのロニネが消し飛んだ。

魔力を奪いにかかる。
供給量が凄まじい。
タフツァの器が破裂しそうだ。

キュキュラ(総力)で攻撃型ロニネを打ち込む。
目に見えない巨大な拳で打ち付けられたように怪物がノックバックする。

二発、三発と繰り出した。
逃れる術もなく命中する。

魔力はとても枯れると思われなかった。

悪魔が絶叫した。

これだけ魔力を流出し、失ったエネルギーで殴打を受け続けて、なお魔法を立ち上げた・・・。

『まずい、大きい!』

隕石だ。
大気圏で燃え上がった・・・。

「全員、退避ッ!
テンギは任せろ・・・!!」

LIFE騎士たちは部下に檄(げき)を飛ばして下がらせる。
全員、“LIFE”の魔法陣で身を守る。

『ここで死ぬわけにはいかない。
一重、二重、三重、もう一つ、更に・・・!!』

五重までロニネを張った。
そしてその外側に、あと二重の攻守両型ロニネを張って、外側へ拡大させた。

シュトリッテオが弾き飛ばされる。
仲間たちがバリアに包まれる。

「・・・大地よ、大気よ、“LIFE”に力を・・・!!」

地より湧き出(い)づるエネルギーはバリアを満たし、“LIFE”の盾を強化した。

天より渦巻くエネルギーは隕石を阻み、上空で障壁となって激突した。

放射線が鋭く降り注ぐ。
それと気付いたタフツァが、内側のバリアから順に、電磁の守護を加えていく。

何とも神々しい七枚の、七色のバリアとなった。

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