第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
早朝、大きな根菜を両手に持ったソマが、無邪気な笑みを湛えてキャンプに帰ってきた。
ヱイユは大きな水瓶を抱えている。
「おはよう、これでスープを作るわ!」
「お二人とも木の上にいるのが分かりましたよ。」
「ごめん、心配かけて。」
ヤエが迎える。
ベーミラも手を振っている。
デグランは果物の入ったかごを持って来た。
「偵察を兼ねて周囲を見てきました。
親切な住人のかたからいただいたものです。」
賑やかな笑い声と炊煙をあげて、朝食の準備に取りかかる。
ヱイユは根菜を洗い、ソマは鍋に湯を沸かした。
ヤエとベーミラがキノコを採ってきた。
調味料を用意するのがデグランの仕事だ。
この光景に、馬の世話をしながらノスタムが言った。
「あなたたちならば素晴らしい世界を作るでしょう。」
同調するように馬が元気な啼き声をあげたので、皆で大いに笑った。