第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
久しく苛まれた夢が、見たこともない喜色に溢れ、幸せな温もりと安堵に包まれていた。
『ソマ、会いたかった、会えてよかった・・・。』
『ヱイユくん、LIFEを護ってくれてありがとう。』
『このままずっと、一緒にいよう。』
『ええ、もうどこにも行かないで・・・。』
二人同時に目を開く。
視線がぶつかって笑い転げる。
囁くようにはしゃぎ合う。
「何の夢を見た・・・?」
「あなたの夢よ。」
「俺も、お前と一緒だった・・・。」
また笑い転げる。
触れ合うことがくすぐったい。
それでも愛しかった。
「私とあなたが一緒にいるのは、とても善いことだわ。
きっと、別々の場所で戦うよりもずっと。」
「ああ、そう考えることにするよ。
敵が多いからこそ、戦いが困難だからこそ、俺にはお前の力が必要だ。」
一人で戦い続けることの限界が、闘神ヱイユの心に変化をもたらした。
「キャンプで話した通り、手始めはミルゼオの守護にあたる。
俺とお前が手を取り合うなら、世界のために何ができるだろう・・・。」
彼の胸に顔を押し当てたまま、ソマがくすくすと笑っている。
「アーダの、・・・お嫁さん探し、とか。」
二人で笑う。
アーダが声を発する。
「そうだな、こいつと初めて会った場所へ、行ってみようか。」
彗星の軌道から、雲が南北に晴れていき、広大な夜空は流星に彩られて、キラキラと輝いていた。