第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
ソマとヤエ、ベーミラ、デグランがキャンプファイアを囲み、そこへヱイユも腰をおろした。
御者のノスタムが馬に餌をやっている。
「よくご無事で・・・。」
サウォーヌの三人は畏怖してそれ以上の言葉が出ない。
「今回は精神をやられた。
悪魔のすることだ、当然と言えば当然か。」
「しばらく一緒に行きましょう、一人は危険だわ。」
彼は常にアーダと行動を共にしてきたと思っている。
土地の神々を味方につけもしてきた。
しかし人には人の家族が必要なのだ。
ここへ迎え入れてもらえたことがありがたかった。
「明日はビオムだな。
皆、アミュ=ロヴァへ急ぐだろう。
・・・俺がビオムに滞在するか。
いや、追手が掛かっている・・・。」
「それなら私が、ヱイユくんと残る。」
ヤエたちが頷いている。
「ソマさんもお疲れのはずですから、ひと月くらい休まれてはいかがでしょう。」
珍しくデグランが進言してくれた。
ノスタムが来て腰をおろす。
「ビオムの暮らしはのどかで、とても人間らしい。
体と心を休めるのに丁度いいですよ。」
年配の彼に言われると、強がる気持ちも表れない。
「みんな、ありがとう。
以前ヱイユくんが各地の仲間をつないでくれたように、しばらく二人で連絡の役目を持ちたいと思う。」
「はい。
ミルゼオ国の守備が手薄になっていますから、騎士団に入ってもらえるようお願いします。」