第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
大空を突き抜けた先、大宇宙の“LIFE”に向かって、ソマとヱイユは一人になると、深い祈りを捧げるという。
この“LIFE”誓願の祈りは、大小の宇宙を交流させ、小我を大我にまで昇華させる。
シェブロンが教え、第二世代のツィクターとパナ、第三世代のヱイユとソマを経て、第四世代とも言うべきファラにまで伝わった。
今、この祈りが、音律が、母なるアズライマを包もうとしていた。
竜族が、互いにしか通じない声を持つように、“LIFE”の祈りもまた、互いに呼び合う性質を持っている。
ソマの祈りがヱイユに、ヱイユの祈りがソマに、届いた瞬間だった。
大地の魔法を得意とするソマにも、土壌から金属を取り出す錬金術のようなことはまだできない。
しかし自然界に起こる炎も鮮やかな赤を放って美しい。
遠く離れて行方の分からない幼馴染みの恋人に、それと分かる合図を送れないだろうか。
彼女はインツァラの花火を打ち上げようと思った。