The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」

第 30 話
前へ 戻る 次へ

突然、ミュネフィの腹が上下に裂け、まるで口のようにヒユルの頭部を喰い千切った。

噛み砕かれて遺髪が散らばった。
胸部も喰い破られる。

惨劇を前に立ち竦んだヱイユが、剣撃を試みる。
またしても見えない障壁に阻まれる。

ヒユルの足が上を向いて、力なく喰い揺すられている。

トゥウィフを打ち込む。
見えない敵の、重低音の叫び声が起こった。

『グオォォォォォーーーン!』

叩き潰すまでだ。
剣にもトゥウィフをかけて連撃した。

すると透明だった怪物が実体を現した・・・。

ヒレがビクビクと動いている。
目の前に、血だらけになったクジラのような巨大生物が横たわっていた。

『ひどいこと、野生動物をこんなに痛め付けるなんて・・・。』

ヒユルの腐肉を捕食したミュネフィは、金色だった髪が黒くなっていた。

前髪をかき分けた顔を見て、ヱイユは血の気が引く思いがした。

それはヒユルの容姿をそのまま写したミュネフィ=リッドワッドだったからだ。

「ヱイユ、会いたかった。
あたしを抱いてくれるか・・・?」

これでは生前のヒユルよりも性質(たち)が悪い。
ミュネフィの怪力で掴まれればひとたまりもない。


上空へ逃れる。
アーダの姿になる。
一気に速度を上げる。

すぐ下までミュネフィの魔手が迫る。
方向を転ずる。

一撃を交える。
引き寄せられる。
もう一撃、打った反動で離れる。

ガルーダを召喚する。
距離が生まれる。

天候を乱し、雷雲を呼び寄せる。
驟雨(しゅうう)を降らして視界を遮る。

『そうやっていつも女を振り払うのね、フフフッ。』

彼は一時、オルブームから退避することにした。

前へ 戻る 次へ
(c)1999-2024 Katsumasa Kawada.
All Rights Reserved.