The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」

第 29 話
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力なくヒユルが倒れかかってくる。
背後に何かの気配が現れる。

アーダが身構える。
次の瞬間、凪ぎ払われるように転倒した・・・。

振り返ると、色白い妖艶な女の魔族が、細く鋭い鎌をアーダの首に懸(か)けてニヤけていた。

『ヱイユさん、会いたかったわ。』

ゾッとする。
ヒユルを地面に横たえたが、冷たい手で上衣の裾を掴まれた。
剣で衣類を裁(た)って悪魔に立ち向かう。

『わたしはミュネフィ=リッドワッド。
その娘を頂きにきたの。』
「許さない。
俺がお前を葬り去ってやる・・・!!」

もはや怒りと狂気の感情しかなかった。

アーダがメゼアラムに還り、無意味になった鎌を打ちに行く。
だが素早い、飛び上がられた。

ヒユルとの間に入る。
警戒も虚しく、打ってこないばかりか、素手で頬に触れられた・・・。

皮膚が破られたか、毒でも盛られたか、否、何もされていないようだ。

構うものか、生命を持たない精神体ではないか。

猛然と斬りに行く。
しかし、見えない壁に阻まれて近寄れない。

『珍しいでしょう、私のペットは透明なのよ、フフフッ。』

未知の力ほど恐ろしいものはない。
ミュネフィ=リッドワッドとは、そうやって人心を掻き乱す悪魔のようだ。

ヒユルが首を吊ったような恰好で起き上がる・・・。

両足を引き摺って、ミュネフィのほうへ移動する。

肩を掴んで止めようとすると、先まで美しく見えていた皮膚が、すでに腐敗してドロリと溶けた。

これ以上、ヒユルを遊び道具にさせることはできない。
悪魔女にズーダ(熱)を与えてみる。

『そんなに熱すると燃えるわよ、ほぉらね。』

ヒユルの背中から炎が出た。
悪魔の幻術だろう。

それでも炎を鎮める。
体を担いで飛び退(の)こうとすると、あまりにもヒユルが重くなって、持ち上げられなかった。

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