第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
バミーナが小竜リールを抱えて来た。
首に封の付いた手紙が結われている。
「おねえちゃんの文字で、“LIFE”の緘(かん)がしてある。
なかなか愛情を感じるね。」
これは魔法陣の構成まで知っていないと解けない。
「わたしはだーれだ!?
一文字書けって、これかッ!」
単純に「フィヲ(結合)」の魔法文字で開いたので、少年は笑い転げた。
「わたしの竜って何だよ、あれっ、飛んでるのがそうかな・・・!?」
リールが元気いっぱいに呼ぶと、黄色の竜、緑の竜が空で円を描くように舞った。
「やること早いな・・・。
みんな、行こう。」
船の乗員は人選してワリヒの集落へ向かう。
ナーズンとバミーナが護衛にあたることになった。
オルブームの全部族と、ロマアヤとの国交樹立を目指す。
ザンダはドガァにまたがり、ベリオング、ポートル、ダッツを連れて、フィヲの竜が導く方角へ行進を開始した。
仲間意識からか、他の竜族に襲われる様子はない。
しかし魔族の妨害があるようだ。
ファラのニムオーも来て、フィヲの竜を軌道の外側で援護しているのが見えた。