第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
「みんな、臥せて、反撃に備えてくれッ!!」
ノック・アウトと思われたが、合成悪魔の生命力は想像を絶する。
先にザンダの頭に響いた大音声が、海面を揺(ゆ)す振り、バリアを歪め、船を激しく波打たせた。
射程にあるキャノンが一基。
正面を捉える、爆音とともに砲煙が上がる、そこを突き抜けて巨鳥が迫る。
もう一砲、上へかわされる。
対岸に当たって爆発する。
上空だ。
ポートルの剛弓から丸太のような矢弾が打ち上げられる。
かすって爆発が遅れる、後方で弾ける。
バミーナの爆裂弾が当たる、もう一発・・・!!
魔鳥シヅォーヌが翼を広げ、船をバリアごと抱え込もうとした。
ザンダの怒気に満ちた目とぶつかった。
「お前にロマアヤは渡さないぞ・・・!!」
少年の指先から、赤い電撃のようなものが迸ったかと思うと、魔鳥の胴体を射貫き、魔法陣となって広がった。
これが生体合成とは正反対の力、生体分離のアンチ・マジックである。
大型の鳥が三羽、人間が三人、豹が六体、宙に浮いた。
『頼む、落とさないでくれッ・・・!!』
最後の力を振り絞ったザンダのゾーで、悪魔合成に使われた生体は保護を受け、船上に確保された。