第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
フィヲは、自分一人で引き受ける判断をしない。
自ら特訓した、サザナイアの力を引き出して、ファラに見てほしいと思っていた。
すーっと滑走してサザナイアと背中合わせに立った彼女は、少ない言葉で意思を伝える。
「魔力を注ぐから、自由に使って!」
急激な供給は、披術者の体に負担がかかる。
また過剰供給はエネルギーの無駄だ。
フィヲはサザナイアの消費量を知っていた。
「全部打ち落とそう・・・!!」
最初のブラスティング・ブレイドがグリーンドラゴンの翼を打ち上げ、バランスを崩す。
フィヲが大地へ引き摺り下ろす。
翼人が巻き込まれる。
次に現れたブルードラゴンに、電気を帯びた球体を当て、破裂させる。
体勢を立て直しそうなのを見て、回転させながら落下させる。
キマイラが押し潰され、絶叫する。
今度は着陸を思い止まらせるほど、連続して上空まで打ち上げる。
当たった翼獣が落ちる、まわりが危ないと見て逃げ散る。
回転体を並べて発動し、剣の一振りでまとめて放つと、一斉射撃の如く魔族の空襲を脅かした。