The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」

第 15 話
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「現象を伴う魔法は起こせないかもしれない。
発動を避けていたんだ。
もし、魔法に頼って、何も起こらなかったら・・・。」

たしかに彼の戦法は剣に比重を置くようになっていた。

忘れてしまったことも多々ある。

召喚があっても、体は一つ。
剣を頼りに、仲間を護りきれるかが心配だ。

その時、背中をポンと叩かれた。

「だからわたしたちがいるんじゃない!」

全ての魔法修得と王国騎士流の剣法があれば、一人で何でもできた。
それは頼るものが自分の他になかったからだ。

師シェブロンは、弟子を一人立つ獅子に育て上げた。
そして最も頼りになる同志をも与えたのである。

『生き抜け、戦い抜け。
君には確かに最強の力を授けた。
如何なる困難が折り重なろうとも、活路を開き、同志を護り、人々を導いて、勝ち抜いていくことができるじゃないか。』

師が直接語ったのではない。
彼の心に常住する師がそう言うのだ。

敵の悪心を粉砕する正義の獅子吼。
同様に、味方と最強の連帯を築く、信頼の声の力こそが、剣よりも魔法よりも大切であるように思えてきた。

「わたしが空からの敵を防ぎます。
地上に降りた敵を、ファラ君お願い!」

それは、彼自身が自由に魔法を使えたなら、きっとそうしたに違いない戦法だった。

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