第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 10 節「“LIFE”の一法とは」
捕縛を解かれたエモラヒが、離れた所からファラを狙っている。
心臓を目掛けた奪命のグルガだ。
だが、発動することなく前へ倒れてしまった・・・。
「いやーーーっ、わっ!
大変、ごめんなさい、誰か踏んじゃったみたいッ!!」
フィヲが着地したのはエモラヒの背中だった。
「フィヲ、落ち着いて!
今、竜族に囲まれている。
魔力は使い果たしてしまったかい・・・!?」
「まだ大丈夫みたい。
ファラ君の後ろに立つから、戦おう!」
二人分の光速移動後に余力があるとは。
彼女たちのため残してきたニムオーを召喚できそうだ。
シラルルが黄土色の竜を締め付けている。
ヴィスクに喉を喰い破られた黒竜の絶叫が響き渡った。
鎌を持った翼人にスタンニングブローを与え、大無刃刀で猛禽(もうきん)の胴をはたき落とすと、上空から有翼の黒騎士がバサバサと舞い降りた。
ガトレーンだ。
「フィヲ、騎士は任せて、あっちを頼む。
サザナイアさんをよく見て。」
女の黒騎士ロールウェールも降り立った。
剣閃が交差した。
ファラが猛然と打ちに行った。
籠手への強打で、ガトレーンが剣を取り落とす。
喉元へ、上向きの強突が入ると、翼騎士は退(の)け反(そ)って後方 20 メートルほど飛ばされた。
更にファラが飛び上がり、剣を振り上げると、会心(かいしん)の兜割(かぶとわり)が決まった。
フィヲは早くもロールウェールを木に縛り上げ、荷車を襲った合成獣を止めにかかるところだった。