第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 09 節「本有(ほんぬ)の発現」
通信を終え、ナズテインは作戦について語った。
「第十四部隊で南西の塚を守護してほしい。」
「たいちょ、いや総帥!
お任せください、このニッドゥイ、現地の情勢を速やかに掌握してご覧に入れます!」
スヰフォスは総帥の座をナズテインに譲り、幅広く戦士の育成にあたりたい意を表していた。
新部隊の長に抜擢されたニッドゥイは、結成以来の後輩であり、弟のような存在だ。
第一斥候庶務部隊から第十一、十二部隊が出てメレナティレ復興に尽くし、今また二つの部隊を派すに至った。
リョジーブの第十三部隊は、ミナリィ港の一切を託される。
ロマアヤ・ワイエンへ帰還する人々を無事に送り出したばかりである。
「これまで限られた国とだけ交易してきたが、ミナリィは世界に開放する。
君はリザブーグから各地へLIFE騎士を派遣してほしい。」
「心得ました。
従来の東行航路を発展させ、西行航路を開拓します。」
「頼むぞ。
特にメレナティレやオルブームと海路で結んでほしいんだ。」
過去、どのような作戦もナズテインを中心に展開し、小さな騎士団がここまで大きくなった。
LIFE騎士の会議は、道なき道を開く突破口となり、皆が待ち望む未来を作り出すという、限りない希望に溢れていた。
そこへプッゴスの早馬があった。
「昨夜、タフツァ殿より、レヂョウ、ラッツピンの部隊に協力要請がありました。
いかがでしょう。」
レヂョウが飛び上がって喜ぶ。
「ご指名ですか!
つ・か・ま・え、ますよー!!」
笑い声が広がった。
ラッツピンが問う。
「ナズテイン、役目を終えればここへ戻る。
ツテンヴァの隊も、いいだろうか?」
それは改心半ばのジェネラルだ。
彼らはタフツァの任務を知っている。
国内でもっとも重要なミッションとなろう。
「ツテンヴァ、士卒を失うな。
全員生還を第一指令とする。
行けるか?」
「北寄りのミルゼオ国境付近だな。
地理には明るい。
戦法は、慣れる他あるまい。」