The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 09 節「本有(ほんぬ)の発現」

第 31 話
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テンギの周りで風が渦巻く・・・。
落ち葉や枝が吹き上げられる。

騎士たちも、立っていられなくなってきた。
体が宙へ引き上げられ、足が地面から離れる。

「竜巻だ、屈(かが)めッ!!」

隊長の声だが、間に合わない。

馬車から駆け降りたタフツァが、瞬時の判断で騎士たちにロニネをかけた。
複数への同時発動だ。

「ウィロ、自分と馬を守ることだけ考えろ!」
「は、はいっ!!」

少年が馬車を御(ぎょ)して後方へ退避する。

タフツァは動ぜず風をも受けず、スタスタとテンギに近寄っていった。

手の一振りで現象が変化し、握る素振りで竜巻が細く狭められた。

「ぐほっ・・・!!」

三メートルの巨体が旋回しながら持ち上がっていく。

もう一方の手で、テンギにゾー(重力)をかけ、上昇し過ぎないようコントロールした。

彼は騎士たちが無事に着地するまで待って、テンギに言い放った。

「お前の力はこんなものか。
ホッシュタスの操り人形め!!」

旋風の威力を上げる。
ゾーも強める。

大地へ還るエネルギーの流れができた。
そしてタフツァに注がれる。

回転が止まらなくなった所で、風を収め、無重力状態を作り出す。

急速な流出により、意識を失ったまま、テンギは宙で回り続けた。

味方の安全を確保して、しばらく回しておくと、大地への供給が止まりかけてきた。

さすがに吸いきることはしない。

発動不能、戦闘不能まで追い込んだ所で回転を止めると、徐々に無重力を解いて、テンギが目を覚まさぬよう、ゆっくり地面に横たえた。

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