第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 09 節「本有(ほんぬ)の発現」
たとえ初対面であっても、LIFEの人々は旧知の間柄のように笑みを交わし、何でも分かり合うことができた。
過去世から同じ師の元(もと)へ集おうと約し合い、再会を果たした、まさに生命(いのち)の同志の絆である。
のみならずザンダは赤子の頃からトーハにあやされ、その胸に抱かれて育ったのだ。
「おいおい、そうか、大変だっただろう。
少し休んでいきなさい、ご馳走するよ。」
ピスムとワダイルも来た。
「あらザンダさん、お知り合いがどこにでもいるのね。」
思わずポートルが笑い声を上げ、ベリオングは止めようとした。
だがザンダがあまりに大きな音を立てて鼻をかんだので、彼も堪(こら)えず笑ってしまった。
「は、腹が、減った。
・・・夕飯にしよう・・・。」
皆が笑うので、ザンダも笑った。
明日以降、サウォーヌの二人にはビオムを、更にアミュ=ロヴァを目指してもらわなければならない。
メレナティレの情勢と、オルブーム行きを含め、今夜は滞在して会議を行うことにした。
これに先立ち、トーハは一行を案内して、「アイディールの定食屋」で食事をとさそってくれた。