第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 09 節「本有(ほんぬ)の発現」
メレナティレでは、瓦礫と化した旧王城の解体作業が行われていた。
この任にあたっているのが、ジスヒル率いる第十二部隊とロマアヤの戦士ベリオング、ポートルだ。
激戦の中、悪魔に占拠された魔宮であるだけに、二度と敵の足掛かりにはさせない。
心ある市民はそう誓って労を惜しまなかった。
機械に通じたエッダイーグの第十一部隊は、トーハの指揮の元、機兵の運搬を担う。
一方、南には封印の地ディスマを擁する深い森がある。
危険な術師らの潜伏も考えられる。
レンジャーのピスムと忍者ワダイル、兵士ダッツが巡視を続けていた。
魔族、竜族との交戦は極めて危険だ。
リザブーグでシェブロンを迎えた弟子たちならば“LIFE”の魔法陣を思い描ける者も増えてきた。
だがメレナティレには魔力に長けた者がなく、究極魔法陣のレクチャーを受けた者もまだいない。
彼らは住民の避難誘導、戦闘回避に徹し、狙撃を受けた場合に限って最低限度の迎撃を行っている。
海岸線と各防衛拠点には砲台を搭載した機械兵を配置して、大群の侵入を阻んだ。