第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 09 節「本有(ほんぬ)の発現」
『東のタウサーとは同盟関係にある。
だがワリヒは古来、北のランラと争ってきた。
西のアゴーはタウサーと、ヤコハ=ディ=サホを巡って対立している。
その二つの頂を、彼らは分かち持つことで抗争を回避してきた。
今、魔法使いから聖山を取り戻すために、東西の部族が衝突しないとも限らん。』
マーゼリアでは「魔山」と呼ばれるヤコハ=ディ=サホも、ここでは神聖な山と考えられているようだ。
この山の分岐した山頂は「双牙」と呼ばれている。
西の山頂をアゴー族、東の山頂をタウサー族が信奉していた。
「歴史を振り返れば相争い、奪い奪われの繰り返しだったかもしれません。
ぼくたちが生きる共通の未来は、皆の願いを集めれば、過去とは違ったものに変えていけると信じています。
その新しい未来を作るために来たのです。」