The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 09 節「本有(ほんぬ)の発現」

第 11 話
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長老の家では、定住者の男性が通訳するように、ファラとやりとりしていた。

「ぼくは騎士と魔法使いの両親を持ちます。
生まれた頃、リザブーグに暴君がいて、国はひどく混乱していました。
当時から師匠のシェブロンが、悪王と闇の一族を倒すため、教え子を育てていました。
今、再び世界を闇の一族が席巻しようとしています。
彼らはヤコハ=ディ=サホに集結し、長老の木を手中に納めようとしている。
それをやめさせるために来ました。」

訳者は感動していた。
そして怖れた。
魔族を全部敵にまわして、少年が戦うと言うのだ。

「腕が立つとお見受けします。
しかし、勝算は・・・?」
「この地にエモラヒがいたように、闇の一族は各地にいて、互いに連絡を取り合っています。
同時にぼくの仲間もまた、世界中にいて、共に戦う布陣を整えているのです。」

ワリヒの長も震えていたが、意を決したように言った。

『ワリヒも共に戦おう。
気に入れば、どれか村の娘を娶(めと)らぬか・・・?』

通訳されて思わず赤面してしまった。
だが自分にはすでに大切な人がいることを話して、村の娘たちのことを褒め讃えた。

更に、他部族とも協力したいと述べると、喜色から一変、族長は顔を曇らせる。
根深い対立があるという。

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