The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 08 節「“LIFE”を開く」

第 47 話
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夕食会も終盤を迎え、多くの人に来てもらった御礼でフィヲが立った。

シェブロンに守られてきた日々には誇りだけあって力がなく、タフツァのパーティにいた頃は自信が持てなかった。

ファラとパーティを組んでから彼女の内的開花は始まり、今が絶頂期にも思えたが、17歳という年齢はまだまだ大きく伸びゆく頃である。

そこには計り知れない可能性が秘められていた。

声の響きに善性の薫発がある。

「今夜は忘れられない夕食会になりました。
明日、私とサザナイアさんは、有翼獣ニムオーに乗ってメレナティレ海峡を渡り、世界に異変をもたらしている『長老の森』へ赴きます。
本当にどんな危険が待っているか分からないの。
それでも私たちはシェブロン先生の教え子です。
たとえどんな敵が現れたとしても、世界で最強の力である“LIFE”を持った私たち一人一人が、敗れるということは絶対にありません。
八方塞がりの状況に置かれた時、『できない』と決めてしまうのは自分自身の心。
その弱い心に負けない限り、勝算はここにある・・・。」

両手をそっと胸に当てるしぐさに、皆心を打たれた。

「瞬間の“生命”である“一念”が、“LIFE”となって迸る時、その“一念”の前に悪魔たちは消え去り、世界は“光”に包まれるでしょう。
これが、誰にでもできる“究極の発動”です。
八芒星の魔法陣が八葉の蓮華となって広がっていく姿は、私たちの“LIFE”が開花し、結実していく姿そのもの。
だから皆さん!
戦いましょう!!」

ハイと返事をする者や、拍手を送る者がいた。

続いてサザナイアが立った。

「わたしはずっと剣の修行をしてきました。
ロマアヤでみんなと出会って、初めて“LIFE”という戦い方を知りました。
『活人剣』は王道です。
人を殺すのではなく、活かすための剣術。
それと似ているけれど、“LIFE”は剣術に限らず、どんな分野にも応用される根本法。
剣術も、多数対多数の戦闘における兵法も、全てはこの“LIFE”の一法から生まれてきたんだって、探求すればするほど実感として分かっていきました。
必ずここへ帰ってきます!
みんなもどうかリザブーグを守ってください!!」

サザナイアの光輝に応じて歓声が湧き、広間を満たした。

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