The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 08 節「“LIFE”を開く」

第 26 話
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すると外からノックの音が聞こえた。
ウィロは今言われた意味を考えていて、気付くのが遅れた。

シェブロンが戸を開ける。

サザナイアだった。

「先生、私、明日の出発の前に、どうしてもお伺いしたいことがありまして・・・。」

そう言いながら、彼女は奥にウィロがいるのを見た。

「そうだね。
彼のように、知識を求めてきたのかな、それとも戦法のことか。」
「はい。
もう実戦で出せるようにならなくてはなりませんから・・・。」

シェブロンは頷いて、ウィロを呼んだ。

「ヴェサさんを訪ねるといい。
テンギのことを話してくれるだろう。
・・・朝と夜は欠かさず“LIFE”の祈りをやるんだよ。
そして残りの魔力を一定出力で出し切ってから休むようにするといい。」
「はい!
ありがとうございますっ!!」

少年は言われた通り、ヴェサの部屋の方へ駆けて行った。

サザナイアはフィヲとサウス・ウェストで合流することを言わなかったが、シェブロンの方で気にしてくれたので、二人は城下へ出ることになった。

「そうか、『飛翔』の前に、『ジャンプ』を身に着けたいと。」
「はい・・・。
私、高く飛べるでしょうか?」
「飛べる。
今夜フィヲはヴェサさんと出発前最後の時間を過ごすだろう。
あなたの靴に、わたしが魔法を込めておいてあげよう。
何足か使い分けるかな?」

2足ある靴の、今履いていない方を取りに部屋へ立ち寄った。

「『ゾー』を込めて、この靴の上に別の重力場を作り出すようにしよう。
ただし普通の歩行はできなくなるから、常に地面を蹴って『滑走』するようにしなさい。」

靴を手に預かると、見ている間にシェブロンは魔法を込めてしまった。

「ほら、どうだい。
履き替えてごらん。
そっちの方は、通常の戦い方のためにとっておくといい。」

片足を靴に入れようとすると、なるほどふわりと浮いてしまいそうだった。

「五体が宙返りしても、足の位置と上体の位置関係は変わらない。
常にあなたの重心を捉えて、星の中心部とあなたを結ぶ直線方向へ重力を軽減する魔法陣になっている。」

爪先で地面を蹴ってみた。
ふわりと体が浮かぶ。

「すごい・・・!!」
「あとはよくフィヲと練習しておくのがいい。
壁などを蹴れば『三角飛び』もできるよ。」
「本当に、ありがとうございます・・・!!」
「よく慣れていくといい。
夕方城に帰ったら、靴を履き替えて、それをわたしの部屋へ。
一晩込めておけば、もう魔法が消えることはない。」

リザブーグ城の下まで降り、サウス・ウェストの門まで見送ると、シェブロンはそこでサザナイアと別れ、城へ戻って行った。

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