The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 08 節「“LIFE”を開く」

第 22 話
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「もう、加減したでしょっ!?」
「ええっ、・・・と、そんなことないわ、本当に力尽きたんだから!」

魔法攻めにされていればサザナイアに勝ち目がないのは明らかだ。
彼女はそのことを悔しがっているのだが、内心はフィヲに深く感謝していた。

「長老の森に着いたら、この借りはきっと返すからね!」
「頼りにしています。
それにしても、さすがスヰフォス先生、その細長い盾はサザナイアさんの動きにぴったりだった。」

鍛冶屋に依頼している盾は特注であり、今日持ってきているのは市販品の中で最も形状が近いものである。
明日の完成を見れば、魔法を宿す性能や、シールドタックルの威力はこれを上回るだろう。

大地からのヒーリングを受けながら、二人とも湯気が立つほどに上気していたが、しばらくすると涼しくなってきた。
ここ数日続いていた、北からの強い風がまた吹き始めた。

「一度城下へ戻りましょう。
休憩しながら次のメニューを考えるの。」
「ええ。
なかなか剣士を育てるのが上手よ、フィヲちゃん。」

ファラの後衛となって戦った日々をからかわれたように思って、フィヲはポッと顔を赤らめた。

彼は上手く潜入できただろうか?
ヱイユと合流しているだろうか。

ファラのことを想えば、祈らずにはいられない。

そしてあと半日という限られた特訓の時間が惜しまれたし、こうしている間にもファラに危険が迫っていないかと焦りもした。

あの鍛冶屋ならば、明朝一番の納品はきっと予定通りに行われるに違いない。

師に守られた日々、ヴェサや、多くの仲間たちと過ごした日々はもうすぐ終わり、サザナイアと二人でメレナティレへ、オルブームへ、旅立たねばならない。

“LIFE”に目覚めて以来、気丈になってきたフィヲだが、出発には当然、不安な気持ちがあった。

戦乱の記憶も新しいメレナティレ。
そこは仲間の技師トーハらによって収拾され、LIFEの拠点となりつつある。

先発したザンダや、ロマアヤの仲間たちもいる。

しかし、彼女たちの役目は、地上・海上からオルブームへ入るザンダたちとは別行動であり、ファラが残していった有翼獣ニムオーに乗って、空路、彼の所まで行くことだった。

無敵のバリアを張って、ニムオーをも守りながら飛ぶことができる。
フィヲの魔力ならば、どんなに敵が襲って来ても撃ち落せるだろう。

何が心配と言って、フィヲがこれほどの重責を一身に担ったことはかつてないのだ。

サザナイアがいることで、半分は頼りたい気持ちになってしまう。
それでもひとたび戦闘となれば、フィヲが全面的に彼女を守りかつ戦わなければならない、というのが現状だった。

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