The story of "LIFE"

『これが戦場であれば命を落としている･･･。
姿の見えない多数の相手を、どうすればいいの･･･？』

自分より若いフィヲに手加減をされてしまうと思うと、サザナイアは悔しくて再び身構えた。

周囲を見回しても、フィヲはさっき魔法を放った場所にも、視界のどこにもいなかった。

標的を見失った状態で、どの方向へ踏み出していいか分からなかったが、どれか一方決めて出るしかない。

警戒しながら滑走していくと、右手に回り込んで、回転体が飛んできた。
とすれば、フィヲは右の後方にいるということか。

振り向き様にフィヲの姿がちらっと見える。

飛んできた回転体を叩きにかかる。
だが、右に持った剣で、右からの攻撃を打ち返すのは困難だった。

地面へ叩き落とすのでもいい、それしかなかった。

すると、迂回してここへ至るまでに、バックスピン方向に変わっていたのだろう、叩いたものが地面へ落ちず、宙で止った。

カーン！

瞬間的な判断には慣れている。
止っている回転体に、力いっぱい剣を打ちつけた。

フィヲは難なくかわして行ったが、サザナイアには少しの自信になった。

『剣と剣での打ち合い、時に獣と戦うことはあったけれど、現象である魔法を打ち返すのが、こんなに難しいなんて･･･。』

自ら回転体を作り出すとすれば、彼女の魔力では１０発も撃てまい。
それでも１０発がもし、有効に使えたなら。

『私の戦法はなんと言っても接近戦。
相手を逃がさないことが肝心だわ･･･！！』

そう決めてみると、どこから飛んでくるか分からないフィヲの攻撃を待つよりも、追いかけて距離を詰めることが一番である。

ぐるり、と辺りを見回した。
最後にフィヲが向かった方向へ駆けてみる。

左の方にフィヲが見えた。

「フィヲちゃん、逃がさないわよ、覚悟しなさいっ！！」

猛然と詰め寄った。
魔法が１発、正面へ放たれた。

力いっぱい打ち返す。

フィヲの方へ宙を転がる。

手の一振りで軌道がそらされる。

もう１発、今度はカーブを描いて、右に飛んできた。

あれを待つまでもない。

サザナイアは魔法を無視して距離を縮め、加速する勢いで剣を振りかぶると、フィヲが背を向けて逃走しようとした。

ドーン！

ロニネを宿したサザナイアの剣から、強撃で弾かれて、フィヲはバリアごと前方へ打ち飛ばされてしまった。