The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 08 節「“LIFE”を開く」

第 13 話
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シェブロンは人を目覚めさせる凛とした声で呼んだ。

「ヤエさん、ソマがお世話になりますが、どうか心を一つに、レボーヌ=ソォラをお願いします。」
「は、はいっ・・・。」

タフツァと二人きりの世界に入り浸(ひた)っていた彼女は、ふいに呼び戻されたように、顔を赤らめた。
それでもタフツァの手は離さない。

この師の一言で、タフツァはヤエにかけるべき言葉が何であるかのヒントを得たのだった。

「や、ヤエさん。」
「はい・・・。」
「あなたがいなければ、リザブーグは大変なことになっていたでしょう。
本当に助かりました、ありがとう。」
「いいえ、そんな・・・。」

タフツァはやっと彼女との絆の意味をつかみかけて、言葉を続けた。

「各地から仲間が集ってくれたことで、何十年にも値する、大きな伸展を遂げることができました。
皆で戦う方が心強いですが、僕たちにはそれぞれ、守るべき人、守るべき地があります。
場所は離れていても、いつも心は一つです。
僕たちは同じ師に巡り会った弟子どうし。
どこへ行っても、いつの時代にも、同じ道の上でお会いできることを確信します。」
「わたしも・・・。」
「強敵と戦うのは僕だけではありません。
あなたも、ソマも、今の想像を超えた難敵に遭わないとも限らない。
だからきっと、全てに打ち勝って、ここで再びお会いすると約束し合いましょう。」

ヤエが熱に浮かされたようになったので、タフツァはあえて強く手を握り、目を見て固く再会を約した。

それを見たシェブロンは、タフツァがよく育ったこと、そして、自分一人ならば犠牲になっても構わないという、この弟子らしい悲壮な心に楔(くさび)を打ち込むことができたと喜んだ。

当然、テンギと交戦するのにヤエを連れて行かせるわけにはいかない。
タフツァ一人である方がいい。

とともに、ヤエはアミュ=ロヴァを守り抜く上で、なくてはならぬ存在だ。

布陣は間違っていないとシェブロンも思っていた。

ただ一つ足りなかったのは、タフツァとヤエがしばらく離れて戦うことになっても、心は同じく、勝利の後に再会しようという意思の確認だったのだ。

人と人の絆が、これほどまでに互いを高め合い、守り合うとは。

勝利を目前に見たならば、最も困難な戦いにおいて、死力を尽くして戦い、自分は散っても構わないとタフツァは考えがちだった。
最愛の女性であるソマへの想いもついに叶わなかった。

しかし今、自分一人の“生命”ではないと気付かされてから、“一念”に微妙な変化が現れてきた。

それは、生ある限り、生きて生きて生き抜いて、自らの戦いを前へ推し進めなければならないという、新しい使命感であった。
危機への閉塞感は打開され、未来への限りない希望が広がっていったのである。

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