The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 08 節「“LIFE”を開く」

第 06 話
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誰かが声を出してもおかしくなかったが、場内は未だ静まっていた。

「エネルギーの流れが反“LIFE”に変われば、人心は乱れ、私たちの描く正の魔法陣は力を失い、生態系破壊の逆方向魔法陣が威力を増してくるでしょう。
今までのような力が出なくなることは十分考えられます。」

早朝に出発してしまったノイ、前夜に小竜リールの姿で飛び立ってしまったファラが、今この場にいないことが悔やまれた。

どのような悪条件をも切り開き打ち破ってきた頼もしい弟子二人の存在が、これほど大きかったとは。

威勢のいい時は黙ってついてきたキャプテン・レスタルダも、元々の悲観的な性格から、つい漏らしてしまった。

「世界の全部がおかしくなってしまうのなら、これだけの味方がいたところで、手には負えないのではないか・・・。」

彼を説得してウズダクから連れてきたルアーズ、アンバスは、“LIFE”を教わってもなお変わることができないレスタルダの弱音に怒りを覚えた。

だが、タフツァがすぐに話し始めたので口をつぐんでしまった。

「祖国へ帰られるならば、あなたを待つ人々が大勢いるでしょう。
一人として“LIFE”の実現を願わない人はいないのです。
皆の心を集め、一つにして、負の勢力と戦っていきたいのです。」

セトやウズダクから来たリーダー格の人々の中にも消化しきれないものがあった。
ましてその部下たちは疑念を隠せない。

場内がざわつくのを見て、シェブロンは自らタフツァの所に立ち、静まるのを待った。

「博士がお話されるぞ。」
「ほらっ、静かにしろっ。」
「しーっ!」

味方といっても、旧来の教え子もいれば、頭領に率いられてきた士卒もいた。
多くの者はここ1年ほどで“LIFE”を知り、仲間に誘われるまま加わった人々だ。

その彼らに向かい、シェブロンは言葉を発した。

「よく聞いてほしい。
『闇の一族』といえども、その“生命”をよくよく観れば、必ず“LIFE”を具えているのだ。
それと同様に、もし万が一、この『アズ・ライマ』が悪しき潮流に飲み込まれるようなことがあったとしても、それでも希望はなくならない!
なぜかといえば、我々一人一人の胸中には、厳然と“LIFE”という希望の灯が燃えているからだ。」

誰もが圧倒された。
これが師シェブロンの“一念”なのである。

即座にフィヲが立って呼応した。

「そうよ、たった一人になっても、わたしはあきらめないわ!」

隣のザンダはフィヲが急に勢い付いたのを見て驚いた。
常に師を求め、師の呼びかけに応えられる“生命”がそこにはあった。

今度はアドミラル・ハムヒルドが後押しする。
失った腕が多少痛むようで、もう一方の手で押さえながら。

「俺の親父さん、爺さんの代、さらにそれより何代さかのぼってみても、ウズダク海軍の歴史は試練と闘争の連続だった!
そして、困難を乗り越えられなかったためしは一度もねえ!
今度の敵がなんだ!?
悪魔か何かしらねえが、総勢でかかってこいってんだ!!」

あちらこちらから賛同の声と拍手が起こる。

再びシェブロンが皆を鼓舞するように言った。

「宇宙で最強の力が、一人一人の“生命”には本来、具わっている。
反“LIFE”勢力などに敗れることは絶対にない!
そのことを証明する戦いが、今回の私たちの戦いだ。
頼んだよ!」

一同は大いに力を得て、声をそろえて「おう!」と返事した。

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