The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 07 節「七宝(しちほう)身に具して」

第 11 話
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「おう主人、仕事中にすまんな。
サザナイアは来ておらんか。」
「今、防具を見てますよ。」
「そうか、ではわしも失礼して・・・。」

スヰフォスが外から防具屋に入ったので、鍛冶屋も一緒に行った。

ファラはフィヲが気になって、同じ通りにある洋裁屋の方まで出てみた。

「あら、先生、いらしたんですね。」

彼女は小型の丸盾を手に取っていたが、しっくりこないらしかった。

「その盾を実際に使うとしたら、お前の戦法の上で利点と欠点はどうなる?」

しばらく考えた。
即答はできなかった。

「盾で受けた後、攻撃に出るのが遅くなります。」
「ふむ、盾を押し込んで攻める戦法もあるが。」
「私は剣術中心で。
盾は・・・、なんというか、相手の攻撃を受け止めて、こちらの仕掛けるタイミングを作る感じです。」

スヰフォスはだんだんにやけてきた。
教え子と戦法の話をするのが何よりも楽しいらしい。

「そうだろう。
LIFE騎士団のヌザルムを知っているか?
あいつは大きな盾を2つ持ち、フルアーム・ナックルで敵の武器を掴み取り、拳で打ち倒す。
盾もいいが、フルアーム・ナックルもいいぞ。」
「フルアーム・・・。」

サザナイアは自分の手を見つめ、握ったり開いたりしている。

「・・・受け止められないわ、きっと。」

我が意を得たりと言わんばかりに、スヰフォスは声を上げて笑った。
店の主人も笑った。

「もう!
それなら、私にぴったりの盾を教えてくださればいいじゃないですか!」

幼少時から知っている師であるだけに、サザナイアにも遠慮がない。

スヰフォスは可愛い教え子のプライドを傷つけてはいけないと、真剣になって身を構えた。
サザナイアは、ハッとした。

「お前の動きはこうだ。」

確かに、自分の剣の構えと同じだった。
そういえばビオムにいた頃、スヰフォスは「鏡」を見て自らの動作を整えていくよう、かなりしつこく指導したものだ。

『そう、目の前に同等の相手がいるなら引き付けて振り抜くわ。』

右を睨んだスヰフォスが、軽くかわして肘からの突きに出た。

『エルボー・タックル!?
あれは私の動きじゃない・・・。』

今度は左を睨む。
ここで盾の出番である。

「あ!!」

やや笑って、スヰフォスは相手の勢いのまま盾で受けて引き、右からの強撃を繰り出す動作を見せた。

「これでいいんじゃないか。
幾らでも応用できるだろう。」
「は、はい・・・。」
「主人よ、サザナイアの腕に重しをかねて金属の肘当てを着けてやりたい。
防御よりも攻撃性能を重視してな。」

聞きながら主人はメモに書き取っていた。

「その長剣を片手で自在に扱えるようにするのだ。
もちろん、決める時は両手で打っていい。」
「はい!」
「ふっふっふ、それからちと変わった形状だがな、先端が二つに分かれたやや短い剣を新調してやってほしいのだ。
相手や状況に応じて剣を使い分け、時には両手に1本ずつ持てるように技を磨いていけ。
・・・盾は、こんな具合がいいな。」

そう言って主人からメモとペンを借り、さらさらと自らスケッチしていった。

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