The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 07 節「七宝(しちほう)身に具して」

第 10 話
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ノース・イーストに入ると、洋裁屋の娘ロワムがフィヲを見つけた。

「おねえちゃーん!」
「おはよう!
これ、わたしの装備、ありがとう。」
「似合うよ、気に入ってくれた・・・?」
「うん、動きやすいし、魔力が漲ってくるの。」
「おかあさんが、ずっと気になってるみたい。」

フィヲは近くの洋裁屋へ寄ってくることにした。

今日も鍛冶屋が開店している。

ファラの武器防具を完成させて今朝方城まで運んでくれた主人は、早速次の鍛錬に精を出していた。

音のする作業場を覗(のぞ)くと、鍛冶屋がファラをちらっと見て笑みを浮かべ、しばらく仕事を続けた。

「刃のないものばかり・・・。」
「ほんとうだ、まさか全部打ち直すんじゃ?」

店内を見ていると、額に巻いた手拭を取り、汗を拭きながら主人が店側に入ってきた。

「おう、風格が漂っているねえ。
重すぎはしないかい?」
「魔法を込めた防具は前よりも軽くなった感じです。
剣は、・・・これからよく使い込んでいきます!」
「はははっ、まだまだ筋力がつくからな。
そいつを一日中振り回せるようになったら、世界で最強の騎士を自負していいんじゃないか。」

サザナイアが羨ましそうに鍛冶屋を見ている。

主人も気が付いて目を止めた。
剣に見覚えがある。
彼自身の手によるものだ。

「お嬢さん、ずいぶんと腕が立つようだが。」
「私はサザナイアといいます。
ビオム村の出身で・・・。」
「というと、学師様の!?」
「はい、幼少より剣を教えていただきました。
この剣も、こちらで打っていただいたものでは?」
「そうそう、背の高い娘が使うから、刀身は長く、細く、守りにも強く、重量は極限まで抑えて、というご注文だった。
・・・究極の無理難題だろう?」

誰からとなく、どっと笑いがおきた。

「私も剣士として修行してきましたが、戦場は一対一の打ち合いとはいかず、一人対多数の混戦に活路を開けるようでなければなりません。
両手で剣を握るだけでなく、盾を使えるようにしたいのです。」
「それは両手剣として打ったからなあ。
しかし片手で扱えないこともない。
防具屋は向こう側だ。
自由に手に取ってみてくれ。」
「ありがとう、見させていただきます。」

サザナイアが店内の扉から防具屋の側へ行く。

「ご主人、ダガーやサーベルはどうされたんですか?」
「ああ。
打ち直す。
今朝、お城で学師様から騎士団の装備品をご注文いただいたんだ。
俺は新しく作るつもりだったが、学師様は展示品を買い取ってくださり、打ち直しのご注文をなさった。」
「近頃まで王国騎士として剣を取っていた人も、不思議なことにスヰフォス先生の元ではすぐLIFE騎士になります。」
「人は他者との出会いによって大きく影響を受ける場合がある。
それは内在的に求めていた何かと初めて出会う瞬間に始まる。
俺もずっと抱えていた武器作りに対する矛盾を学師様に見出していただいて、生まれ変わったのさ。」

ファラは街路にも警備中の騎士が立っていることを思い出して、鍛冶屋に紹介するつもりで戸を開けた。

「あ、先生!」

スヰフォスはサザナイアの装備品について考案したイメージを早く鍛冶屋に話したい様子で、上気した顔をほころばせた。

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