第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 07 節「七宝(しちほう)身に具して」
コダリヨンはムゾール=ディフの艦隊でロマアヤへ。
ラゼヌターとメッティワは公国港ブイッドへ、ジシューはヌダオン=レウォとともにメビカへ行くことになった。
また、ルアーズとアンバスはフスカ港経由でルモア港へ。
ソマ、ヤエ、ベーミラ、デグランはコダーヴ市からビオム村を通って古都アミュ=ロヴァに入る。
メレナティレへ赴いたヤエの仲間ワダイルとピスムはコダーヴで合流し、広大なレボーヌ=ソォラと少数民族地帯カーサ=ゴ=スーダの全体を守り抜く。
同じ方面へ向かうメンバーでまとまって作戦会議が続く中、騎士ノイは自分に与えられる役目が何であるかずっと気になっていた。
ミナリィ港からリザブーグへ来る仲間の受け入れ態勢を整えるため、タフツァも出てしまった。
シェブロンが自らの座の方へ戻ってノイを呼ぶ。
「きみの守るべき場所が分かったかい?」
「わたしは先生をお護りします。」
「まだ布陣できていない所があるだろう。」
「そ、それは・・・?」
「ルング=ダ=エフサだよ。」
しばらく顔色を変えず、ノイはシェブロンの目を見た。
「彼らを、大陸へ移住させるのではいけませんか。」
「話がまとまるならばそれもいいだろう。
きみは島の一員として話し合いの場に参加してくるんだ。」
師の心がありがたくもあり、彼自身の決めた道から遠ざかってしまうようでさびしくもある。
だがこの頃から、ノイの中には一つの希望が差し込んできていた。
目に輝きが見え始めたので、シェブロンは笑った。
「ははは、何を考えている?
そうだな、誰でも連れて行って構わない。
船の規模も、きみの判断に任せよう。」
「はい!」
やっとノイの表情が明るくなった。
一方、オルブーム行きが許されたサザナイアは、少女のようにうれしそうだった。
自分より2つ若いファラとフィヲがかわいくて仕方ないらしい。
「とってもすてきな装備・・・!!
町に売っていたの?」
「スヰフォス先生が戦士のために武器を選ばれる時、いつもリザブーグの武器屋さんで頼まれているのですが、そこのご主人にぼくの戦い方をお話ししたところ、スケッチを描いてくれまして。」
「わぁ、特注品なのね!?」
「はい。」
剣の道に何らかの理想を抱く者にとって、それを形にしてくれる職人との出会いは大きな夢でもある。
近くにいたスヰフォスが話を聞いていて、同郷の教え子でもあるサザナイアに尋ねた。
「お前の剣もワシの発注だろうて。
何がほしいのだ?」