第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 07 節「七宝(しちほう)身に具して」
ルアーズが立って発言した。
「私とアンバス、サザナイアで、ルモア港からモアブルグを経て、アミュ=ロヴァ、ビオム村へ回りたいの。
レボーヌ=ソォラへはどなたが行かれますか?」
タフツァの考えは決まっていた。
「ソマ、アミュ=ロヴァへ行ってもらえないか。
現地にはきみの教え子がたくさんいる。
皆でレボーヌ=ソォラの砦を築いてもらいたい。」
ソマはずっとヱイユのことが気になっている。
だがしばらく考えて、ヤエに目配せした。
「分かったわ。
ヤエさんと一緒に、レボーヌ=ソォラの西側から固めていきます。」
「頼む。
・・・ではルアーズさん、アンバスさん。
ルモア港の守りを築くために、モアブルグの戦士ゴーツと連携してあたっていただけますか。」
ルアーズは喜んだ。
アンバスも決意を固めた。
ただサザナイアだけは、内心に秘めた思いがあるらしい。
「私、ファラくんフィヲさんと一緒に、オルブームへ行かせてもらえないでしょうか・・・?」
たった二人で悪魔の巣窟となった長老の森へ赴くことは確かに不安である。
フィヲはサザナイアが来てくれるなら、滑走だけでなく、飛翔にも慣れるよう、何でも応援するつもりでいた。
ルアーズもまた、仲間と一緒に行けないのを残念に思う半面で、サザナイアが志す剣の道の上に、ファラとフィヲの影響が限りなく大きいことを知った。
ファラが話し出す。
「ミルゼオ国方面へ、フスカ港とコダーヴ市の分岐点になる国境付近にテンギが眠っているのです。
悪魔たちは近寄れないようにしていますが、もしホッシュタスが来れば、ぼくの魔法陣が壊されるかもしれない。」
タフツァの最も頭を悩ませるところである。
その時、兵士がタフツァに告げた。
「ミナリィ港から、ナズテイン殿です。」
未明に開通したばかりの旧王国通信網を使って、ナズテインがタフツァに連絡してきていた。
『こちらナズテイン。
タフツァ殿。』
「こちらリザブーグ城。
タフツァです。」
『開通後、メレナティレと連絡が取れました。
オルブームへの海峡に守りを配置しますが、リザブーグへも、コダーヴへも動けます。』
「リザブーグはスヰフォス学師と城下の騎士たちで固めていただきます。
負傷者をこちらに送ってください。
現在の情勢からメレナティレを前線とし、後方の支援を行います。」
『では、ミナリィのLIFE騎士団は引き続きこちらの復興と、西の集落の守りにあたります。』
「はい。
明日からはリザブーグ拘留の旧王国ミナリィ兵をそちらへ返していけるでしょう。
一切、現地の指示にお任せしますが、復興支援の任を終えられた騎士団の部隊は、一度リザブーグへお戻りください。」