The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 06 節「輪廻の支配者」

第 17 話
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窓から月明かりが差している。

13日目の月は丸く大きかったが、ファラにはやや赤みがかって見えた。

フィヲは気持ちの強さでファラを支え、守ってきた。
それでも今日一日を森で戦い続け、ほとんど休まなかったために疲れていたに違いない。

ファラに抱かれたまま、うとうとと眠りかけている。

彼は起こさぬようにそっと手を伸ばし、前の小窓を開けた。

「少し速度を落としてください。」

ノスタムが横を向き、目を細めて笑った。

月が赤く思えたのは気のせいだったろうか。

黄色い光は優しくノスタムの横顔を照らして、老いた皺(しわ)を映し出ていた。
これまで妻子を持たずにいたのか。

そういえば、シェブロン博士は妻帯していないのか・・・?

フィヲが目を覚ました。

「私、こんな時に・・・。」

肩が寒そうだったので、ファラがマントをかけてくれていた。

「休める時に休まなくちゃ。
森は静かになったね。」

少女の身には確かに寒かったのだろう。
フィヲはマントを引っ張って、ファラにもかかるようにし、まだ温もりから出られない様子で窓の外を見た。

「降りてみよう。」

ノスタムは前に立ってカンテラを掲げた。

ファラは周囲を見回し、フィヲは耳を澄ます。

ルアーズが、サザナイアの向かった方角として教えてくれたおおよその道に、城からまっすぐ走らせてきた。

「ここらで火を焚いて休みましょうか。」

だがフィヲを連れて行ってしまえばノスタムが一人になり、心配だ。

もう少し行けば警備兵たちに会えるだろう。
馬車を引いてしばらく移動した所で、休憩中の騎士3人を見つけたので、ファラは声をかけた。

「みんな、警備ありがとう。
変わったことはあるかい?」
「おおファラ殿!
いいえ、タヌキが出たくらいで。」

ミルゼオ国の山々から流れてくる下流の河原近く、騎士たちの休憩場所にノスタムを合流させて、ファラとフィヲはサザナイアを探しに行くことにした。

「乗せていただき助かりました。
どこまで行くか分かりませんので、このことをお城へ伝えてください。」

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