The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 06 節「輪廻の支配者」

第 11 話
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タフツァが前に出て会議を始めようというところで、ルアーズが立った。

「サザナイアが・・・、まだ戻らないんです。
こんなこと今までなかったのに。」

対外戦線の一切を引き受けていたファラは、フィヲと二人で真っ先に来てしまったことを悔いた。
全員が帰り着けるまでは、自分が呼びに行くくらいの心積りが必要だった。

「ぼくが探しに行きます。
あれだけの警備体制を敷いても見つからないなんて、敵を深追いしているかもしれない・・・!!」

許しを請うようにタフツァの顔を見た。

首を横に振っている。
ファラは驚いた。

「タフツァさん、行かせてください!」
「代わりに伝令を出そう。
・・・プッゴスの部下を呼んでくれ。」

これを受けて、すぐに兵士が駆けて行った。

タフツァとファラはまだ同じ戦線で戦ったことがない。
ファラはタフツァが、自分のことを信用してくれていないのかと思った。

だがタフツァは、まいったなと言わないばかりに、急に笑顔を作ってファラの近くへ駆け寄り、周囲には聞こえないほどの小声で言った。

「きみ抜きに作戦は成り立たない。
会議の順番を変えて、出やすいようにするから、しばらくここにいてほしい。」

ファラはすぐには声が出なかった。
ただ頷いて、顔を赤らめていた。

横でフィヲがクスっと笑った。
そして囁いた。

「最短で作戦を理解して、すぐに飛び出しましょう。」

タフツァが話し、皆は席に着いたまま聞いた。
シェブロンもタフツァの説明にじっと聞き入っている。

戦場での猛者ばかりが集まっていながら、どの面持ちも強張(こわば)るほど、緊迫した内容だった。

「上陸作戦の最中(さなか)、ザンダの船から小竜リールがいなくなったと報告がありました。
そのリールが、夜になってリザブーグへ来たのです。
今は医務部門で休ませています・・・。」

多くの者がリールに手紙を託し、仲間との連絡を取り合う経験をした。
今ようやく一箇所に集まって共に戦えるようになったのだ。
それも彼(か)の小さな竜がつないでくれたからと言えるだろう。

皆、リールのことを心配して声を出しそうになったが、タフツァの言葉を待った。

「リールは怪我もなく、食欲も旺盛です。
運んできた手紙の主(ぬし)は、・・・ヱイユです。」

ソマが待ちきれずに立ち上がる。
タフツァはなだめるように読み始めた。

「『悪魔どもが長老の森に入った。
俺一人では防ぎきれない。
次に狙われるのはリザブーグだ。
そっちの守備を固めた上で、味方を送ってほしい。』」
「大変!!
私が行きます。
タフツァ君、まさかダメなんて言わないでしょうね!?」

間髪入れず、シェブロンが言った。

「ソマ、心配だろう。
分かっている。
だが、長老の森へはファラ君に行ってもらう。
他に誰も太刀打ちできないんだ。」

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