The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 05 節「獅子王の会座(えざ)」

第 60 話
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タフツァが自ら用意した「獅子王の座」の背もたれを引く。
シェブロンは弟子たちの真心に感謝して席に着いた。

“LIFE”の弟子たちは、この時をどんなに待ちわびたことだろう。

人間の王者として師に即位していただくのだ。

すぐにシェブロンは口を開いた。

「ミナリィ港への上陸からリザブーグまでの道中の警備にいたるまで、本当にありがとう。
新しいLIFE騎士の諸君も聞いてほしい。
これから重要な会議を行う。
城内の警備にあたってくれていたメンバーは、城下町内外の警備に回ってもらいたい。
外にいたメンバーを中へ。」

騎士たちの多くは、内と外とで持ち場を替えるとは、変わった指示だと率直に思った。
事実、過去にはそんな例もない。

今日一日の警備を通し、城内のポイントを知悉(ちしつ)した者が城内を、外を固めた者が外を、そのまま受け持った方が安全とも言える。

しかしタフツァはすぐに師の言っている意味が分かった。

ファラたちを呼び戻すのだ。

彼らには付近の森に危険な敵が現れぬよう、広大なエリアの全てを任せてしまった。

タフツァはすぐに城内の警備長を呼び、地図を広げて詳細な指示を与えた。

夜通しの警備体制を敷かなければならない。

「まず休んでいない者を休ませてくれ。
近年にない配置になると思うが、・・・これだけの体制を組めるか?」

警備長は一瞬、目を見開いて驚いた。
タフツァのマーカーは、北はメレナティレの近く、東はミルゼオ国境付近、西は封印の地ディスマの辺りまで分布している。

ごくりと唾をのみ込んだ。

「最初はこの通りだが、徐々に縮小体制に移行して構わない。
できるだけ早くファラくんたちを見つけ、森の様子を聞き、警備を引き継いでほしい。」
「分かりました。」
「燃料や食糧の補給は引き上げてきた騎士たちにお願いする。
交替の警備体制だけ君に任せたい。」
「はい。
もしも危険人物と遭遇した場合は?」
「交戦しなくていい。
王国の警備だと言って、危険を回避するんだ。」

無理な頼みではある。
テンギなどが現れたらどうするのか。

それでも元より王国の盾となることすら辞さない騎士たちだ。
なんとか全員を呼び戻すまで、難敵に遭わないようにと、タフツァは祈るような気持ちだった。

10分ごとに報告に来る兵士がタフツァに告げた。

「ミナリィにいたメレナティレ騎士は、全員、リザブーグへ護送が完了いたしました!」
「よし、ミナリィにはナズテインさんたちに残ってもらって、それ以外は少しでも多く、こちらへ帰還するように。」

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