The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 05 節「獅子王の会座(えざ)」

第 54 話
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『どうかロニネを・・・!!』

フィヲは目をつぶってしまった。
加勢が許されるなら動いていきたかった。

今はただファラの言う通り、信じて見守る他ない。

身でかわすか、盾で防ぐのか。

ドリュフォスの馬もじっと見入っていた。
耳をビクつかせている。

ファラが取った行動はウェポンブレイク。

相手の体を斬りつけるでも、小手打ちするでもなく、先端が3つに分かれた鋭利なドリュフォスの剣目掛けて、渾身の両手断ちが炸裂していた。

最初に見た時からファラにははっきりと分かった。
ドリュフォスの剣は人の体表への殺傷性能ばかりを追求したものであり、硬度の高い武器で打たれれば容易に刃がこぼれてしまうと。

醜く砕け散った剣の柄を握ったまま、ドリュフォスは次の一撃を恐れてまた動けなくなっていた。

その背を強打したものは、ファラの大剣の平たい側面だった。

ドリュフォスがバタンと倒れ、周辺には歓声が巻き起こった。

ルアーズたちだ。

「なぁんだ、最後はファラくんに〆(しめ)られちゃったわね。」

そう言って無邪気に笑っている。

アンバスがドリュフォスの様子を窺い、自力では動けないことを確認すると、肩に担いでくれた。

サザナイアは散らばった剣の破片を拾い上げ、珍しそうに眺めた。

「金属が、砕けてしまうなんて・・・。」

ファラは先までの冷徹な表情からほぐされて、照れながら破片を見た。

「ルビレムさんの太刀筋を真似てみたんです。
斬れていますか?」

ロマアヤの戦線で2度、ファラに破れたジシューが言う。

「ファラ殿の剣でワシは鎧を砕かれ、剣をも砕かれた。
ルビレム殿の技だけではなかろう。」
「それにしても、打撃であって斬撃ではなかったわよね・・・。」

サザナイアにはよく見えていた。
破片には切断されたような切り口も見当たらない。

「何!?
叩き割ったということか・・・!!
それは恐ろしい・・・。」

ドッと笑いが起こる。
フィヲが付け足した。

「ロボット相手でも、ファラくんは最初に相手のメインウェポンを破壊するんです。
さすがにその時は魔法でだけど。」

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