The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 05 節「獅子王の会座(えざ)」

第 50 話
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結局、王国の将ジダッツはリルーに捕らえられ、逃走したイーゴレーはジシューに見つかってしまった。
女剣士オオンと戦ったツテンヴァも敗れた。

残党のゼネラルたちを束ねていたのはドリュフォスという男だが、知略に長けた俊敏な将で、巧みに馬を操るため、アンバスの手には負えなかった。

ルアーズ、サザナイアが手分けして探した。

旧セトの騎士たちも、捕らえた将兵をリザブーグへ送り届けると、全員でドリュフォスを探すことになった。

・・・

「そろそろ先生が入られる頃だわ。」

同じ森の中、ファラと二人で機兵を壊すなどしていたフィヲは、腕時計を見ながら言った。

「ああ。
ロボットはもういないだろう。
メレナティレのもトーハさんたちが押さえてくれているし。」
「やっと、森が平和になったわね。」
「動物や鳥たちの住む森に、機械が徘徊していたなんて。
それも危険な兵器まで搭載して・・・。」
「リザブーグを、“LIFE”立国として発展させましょう。」
「楽しみだ・・・。
王国の生まれ変わった姿を、ぼくも見られるだろうか。」

ふっ、とフィヲの心が翳った。

「ファラくん・・・!!
体が、よくないの?」
「いや・・・。
まだたくさんの敵と戦わなくちゃ・・・。」
「そんな弱気にならないで!
勝つための布陣を整えればいいじゃない!!」

まだ明るいが、日は西に傾いている。
フィヲが見た時刻は15時をまわる頃だった。

「ねえ、お城に戻ろう?
先生も、あなたの顔を見たがっているわ。」
「ぼくだってすぐ駆けて行きたい。
だけど城下と町の住民はソマさんたちにお任せしているし、全ての手を打ってくれているのはタフツァさんだ。
・・・ぼくは最後までリザブーグを外側から護り抜く。」

今日二人が戦ったのは機械ばかりで、魔人も、魔物も、フィフノス一派も、ヨムニフの手下もいなかった。

その上で、彼女にはファラが何を心配しているのか分かる。

鬼神テンギの行方である。

「ぼくの失った魔法が、テンギの体に具(そな)わっていくようなんだ。
ちょうど16の魔法のうちの半分、属性部は奴の手の中にある。
残る半分だけで戦わなければならない。」

魔法のことならフィヲに任せればいい。
それは何度も話し合ったことだ。

気がかりなのは、なぜファラの魔法がテンギに宿るのか、である。

以前、ロマアヤの民の誰かが話してくれた。

ファラもフィヲも同じことを思い出していた。
それは、かの少数民族地帯カーサ=ゴ=スーダの老婆がヱイユに語った通り・・・。

『カーサ=ゴ=スーダの血は女の血。
そして魔法の血。
男児の出生は極めて例が少なく、古来、必ず災いをもたらした』、と。

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