The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 05 節「獅子王の会座(えざ)」

第 48 話
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突然、森の奥から喊声(かんせい)が上がった。
次々に矢が射られ、飛んでくる。

メッティワは盾で防ぎ、オオンは剣で払った。

「何をしている!
そこを開けろ!!」

後方から、怒りに目を吊り上げたズンナークが敵群へ突っ込んだ。

片刃がついたままの大剣で、骨をも砕く背刀打(みねう)ちが繰り出される。
彼が通った後には王国兵が折り重なって倒れた。

元部下のメッティワは、オオンと見合って笑った。

「今でも大将気取りなのよ。」
「あなたを守っているつもりじゃないの?
ちょっとはいい大将になったでしょう。」

そう言って二人も戦闘に入った。

最初にズンナークの強襲を受けたのはイーゴレーというゼネラルの部隊だった。

5人、10人と目の前で倒され、イーゴレーは前へも後ろへも動けなかった。
だが若い同僚のツテンヴァが飛び出すのを見ると、退(ひ)くことはできなくなった。

「うおおおおおお・・・!!」

司令官が駆け出したので、部下たちも攻勢に乗る。

たちまち剣が弾き飛ばされ、地面に突き立つ。

そこへ、ルアーズたちが参戦してきた。
メッティワも以前仕えた隊長の雄姿を自慢する気持ちがあった。

「見て、ズンナークは昔、『セトのハリケーン』と呼ばれていたのよ。」
「あははっ、災害の異名が似合うわね。
なかなかいいハリケーンになったこと。」

快活に剣を握って、サザナイアが現れた。

カン、キン、ズドン!

手合わせた兵士は最後には突き飛ばされてしまう。

「男なら剣を拾って、もういっぺんかかっていらっしゃい!」

サザナイアに倒された者は、二度と歯向かおうとはしなかった。
王国騎士として剣に生きてきて、こんなに気持ちのいい負け方をしたことはない。

言われた通り、剣を取って仕掛けてみたくもある。
だが2度も敗れては剣で立てなくなるだろう。

稽古をつけてもらいたい。
強くなってもう一度戦いたい。
そうした心を起こさせる剣が、サザナイアの剣だった。

押し寄せた最後の王国兵は百人ほどだろうか。

サザナイアは敵群に向かって言った。

「剣に生きる者として、破られるまで戦う姿勢は立派だわ。」

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