第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 05 節「獅子王の会座(えざ)」
突然、森の奥から喊声(かんせい)が上がった。
次々に矢が射られ、飛んでくる。
メッティワは盾で防ぎ、オオンは剣で払った。
「何をしている!
そこを開けろ!!」
後方から、怒りに目を吊り上げたズンナークが敵群へ突っ込んだ。
片刃がついたままの大剣で、骨をも砕く背刀打(みねう)ちが繰り出される。
彼が通った後には王国兵が折り重なって倒れた。
元部下のメッティワは、オオンと見合って笑った。
「今でも大将気取りなのよ。」
「あなたを守っているつもりじゃないの?
ちょっとはいい大将になったでしょう。」
そう言って二人も戦闘に入った。
最初にズンナークの強襲を受けたのはイーゴレーというゼネラルの部隊だった。
5人、10人と目の前で倒され、イーゴレーは前へも後ろへも動けなかった。
だが若い同僚のツテンヴァが飛び出すのを見ると、退(ひ)くことはできなくなった。
「うおおおおおお・・・!!」
司令官が駆け出したので、部下たちも攻勢に乗る。
たちまち剣が弾き飛ばされ、地面に突き立つ。
そこへ、ルアーズたちが参戦してきた。
メッティワも以前仕えた隊長の雄姿を自慢する気持ちがあった。
「見て、ズンナークは昔、『セトのハリケーン』と呼ばれていたのよ。」
「あははっ、災害の異名が似合うわね。
なかなかいいハリケーンになったこと。」
快活に剣を握って、サザナイアが現れた。
カン、キン、ズドン!
手合わせた兵士は最後には突き飛ばされてしまう。
「男なら剣を拾って、もういっぺんかかっていらっしゃい!」
サザナイアに倒された者は、二度と歯向かおうとはしなかった。
王国騎士として剣に生きてきて、こんなに気持ちのいい負け方をしたことはない。
言われた通り、剣を取って仕掛けてみたくもある。
だが2度も敗れては剣で立てなくなるだろう。
稽古をつけてもらいたい。
強くなってもう一度戦いたい。
そうした心を起こさせる剣が、サザナイアの剣だった。
押し寄せた最後の王国兵は百人ほどだろうか。
サザナイアは敵群に向かって言った。
「剣に生きる者として、破られるまで戦う姿勢は立派だわ。」