The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 05 節「獅子王の会座(えざ)」

第 46 話
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遠隔武器を手に身を屈め、旧セト将ジシューの部隊を狙っている者がいた。

王国のゼネラル、ジダッツと部下たちである。

彼らはボウガンを巧みに操り、近くを射抜いて威嚇したり、鎧に傷をつけたりしてきた。

ジシューはファラと二度に渡って会戦し、完膚なきまでに破れた男だ。
当時長い髭(ひげ)を生やしていたが、今は顎鬚(あごひげ)はなく、口の上にだけ整った髭がある。
清潔感のある髪型にしたことも改心の表れであろう。

彼は10歳も若返ったように見えた。

それでも名の聞こえた猛将であった頃の、天を衝くような覇気が、武門に生きる者の挑戦を誘ってしまう。

横目でギロリと睨んだ森の木陰、一箭(いっせん)の矢が放たれてジシューの頭部へ飛んできた。

それを手甲(てっこう)のついた厳(いか)つい腕で掴み取る。

「臆病者め!
こそこそしておらんで姿を見せろ!!」

ガツン、と、刃を矯めた扇形の大剣で樹木を打ち鳴らす。
一瞬ファラの顔が思い浮かんで汗が滲んだ。

『生き物も木々も殺傷してはならぬと言われておったのだ。』

ジダッツと部下たちは密集して集中射撃を行った。

カン、カン、・・・。

ジシューは今、自分で抑え込んだ激しい気性を、戦いのために解放してしまった。

「そんなものが何の役に立つ!!
この俺を馬鹿にしておるのか!?」

風を巻き起こしながら猛追したジシューの姿に、敵は慄(おのの)き、味方は力を得た。
近くにいた女剣士のリルーが横殴りに敵の部隊を突き破った。

分断されたジダッツの部下たちは、10人ほどの二つの塊となって森へ逃げ散ってしまう。

「追え!
一人余すな!!」
「貴様、誰に命令している!?」

リダルオ南征衝の大将だったズンナークの右将リルーは、まだプライドを捨ててはいない。
だが本気で怒ってもいなかった。

「ワシも行く。
おぬしも、他方を頼む・・・!!」

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