The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 05 節「獅子王の会座(えざ)」

第 39 話
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西の空に、わずかに残った夕陽も、じきに姿を消してしまうだろう。

「長老の木」から見て南に聳(そび)えたヤコハ=ディ=サホの方から、黒い翼が飛び立ってくるのが分かる。
まるで虫の大群だ。

「アーダ、最初は俺一人で戦わせてくれ。」

そう言ってメゼアラムの魔法陣を描き、アーダを帰還させた。
そして自ら灰色の竜となる。

翼をバタつかせて押し寄せた竜族の群の先頭に、悪魔の頭領が交じっていた。
名をアグシバーム=スオーダという。

「へっへっへ、小僧、死に時だな。」
『お前たちいいのか?
どうなっても知らないぜ。』

一匹のドラゴンが、上方から降下してきてヱイユを襲った。

体当たりの突撃を、ロニネを張って跳ね返した瞬間、相手が爆発した。
炎上しながら森へ墜落していく。

「生き物をあんなふうに殺していいのか?
・・・結局、お前たちも我が軍門に降るか。」
『バカを言うな。
あいつは俺に突っ込んできたんだ。
死なないわけがあるまい。』

くわと目を怒らせたアグシバーム=スオーダの正面へ、ヱイユは瞬時に人間の姿となって斬り込んだ。

胴がまっぷたつに割れ、悪魔の頭領は紫色の体液を放出する。

「汚らしい、目障りだ!」

今度は頭上から、一閃の剣撃が股の下まで振り下ろされた。

その閃光は天から迸(ほとばし)る雷電を伴った。

「さあ、来い!
同じ目に遭わせてやる・・・!!」

召喚されたアーダが同族の敵たちを散々に追い回した。
恐怖に駆られて弱腰になったドラゴンたちは、アーダの凍てつくブレスで、鋭利な爪で、旋回する風の刃で、ズタズタに裂かれて大敗を喫した。

ヤコハ=ディ=サホの方が騒がしい。
最初に逃げ帰った者が戦況を報告したようだ。

「泥酔(どろよ)いの魑魅魍魎(ちみもうりょう)どもが、俺に空中戦を挑むというなら面白い。
ファラたちを煩わすまでもなく、ここで全滅させて大地の養分に変えてくれよう・・・!!」

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