The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 05 節「獅子王の会座(えざ)」

第 33 話
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その頃、双牙の魔山ヤコハ=ディ=サホは、麓から頂まで、すっかり悪魔たちで埋め尽くされてしまっていた。

元来この山の主であった迦楼羅(かるら)、すなわちヱイユの眷属である巨大鳥も所を追われていた。

ヱイユは迦楼羅の状況を知って、ヤコハ=ディ=サホの北方に位置する聖地「長老の森」の守護を命じた。

悪魔たちはこの森に近付くことができない。

しかし、彼らの狙いもまた「長老の木」であった。

アズライマ(この星の名前)を取り巻く魔法エネルギーが星へと還っていく地点が断崖の孤島ルング=ダ=エフサであったように、この聖地は汲めども尽きぬ魔法エネルギーの湧出(ゆうしゅつ)地点となっているのだ。

オルブームはヤコハ=ディ=サホを中心として「×印」を描くように、4つの部族が統治している。
北のランラは狩猟民族、東のタウサー・西のアゴーは同じ先祖を持った農耕牧畜民族、南のワリヒは漁猟民族である。

「長老の森」と「ヤコハ=ディ=サホ」を不可侵の聖域とすることで4部族は争うことなく暮らしてきた。

その聖域が、悪魔の大群によって占拠されてしまったのだ。

以前、レボーヌ=ソォラでヱイユが悪魔ニサーヤと死闘の末、辛うじて勝利したものの、深手を負って「長老の木」で療養したことがある。
こういった目的で使われることに対して、オルブームの各部族は抗議しない。

だがひとたび世界の秩序、オルブーム大陸の秩序を乱す者が入ったとなると、彼らは黙っていなかった。

それぞれが族長の元に集まって夜毎(よごと)話し合うようになっていた。

今は均衡を保っている彼らも、昔は部族に分かれて互いに争ったものである。

大陸を4分割し、共通の聖地を協力して守ることで一致して以来、数百年。
初めて外側からの脅威と戦うことになったのだ。

外来の敵といえば確かにそうだが、元々、内に不安要素を持たなかったわけではない。
封印以来、世界各地に点在していた「闇の一族」は、このオルブーム大陸、それぞれの部族の自治圏にも存在していた。

そうした輩は部族の暮らしに干渉せず、害にもならず、ただ「きちがい」と扱われながら遠巻きにされてきた。

では、「闇の一族」は何を目的に生き、各地に住んだのか。

それは実に、世界の魔法エネルギーの流れをコントロールして、いわゆる「順方向」の流れを「逆方向」へ変えることだった。

どのようにしてエネルギーの流れを変えているのか。
互いに線で結んだ時、「負の六芒星」を形作るように住居を構えるのである。

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