第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 05 節「獅子王の会座(えざ)」
「ダームウェル。
今の王国のために振るう剣に価値はあるのか?」
レンガーを格下(かくした)と侮っていたのが、剣を砕かれ、鎧は裂かれて、仰向けに横たえられたエリート騎士には、もはや何も残っていなかった。
「なぜお前を超えられたか分かるか。
それは騎士として、身を挺して守るものの尊卑による。」
悔しくても言い返しようが無い。
ダームウェルは起き上がれず、声が出せないのである。
敵の5人ほどの部下たちも近付きかねていた。
「人を迷わせ、国家を狂わせる、魔性に取り憑かれた、悪魔に制圧された王国。
そんなものを守るために、人間の本当の力は出ない。
世界に遍(あまね)く響き渡るところの、“生命”の声に耳を傾けろ。
民衆を忘れるな。
戦乱を憎み、暴君を嫌い、本来伸びゆくことを願う“生命”の声を、お前も少なからず背負ってきたんじゃないか。」
民衆に育てられ、その期待を受けて今の地位を得たにも関わらず、報いるべき恩を忘れてしまえばいつか足元をすくわれることになる。
聞くに堪えなくなった部下の一人がレンガーに襲いかかった。
だが、剣だけでなく、全身の勢いまでも盾で受け流され、結句、胴に一太刀入れられてしまう。
「グホッ・・・。」
部隊の強者2名が討たれたので、皆怖気づいていた。
「助け起こしてやれ。
剣に生きる者ならばこれくらいは覚悟しているはず。
・・・生きる道に迷ったなら、LIFE騎士団はいつでも歓迎する。」
一方、ヌザルムは、機械兵の散弾を大盾で防ぎきって、呼吸を乱していた。
何度でもかわせるものではない。
冷や汗が滴(したた)り落ちた。
接近戦になれば不利と見て、遠巻きに銃を構える敵兵がいた。
レンガーは怒りを露わにして躍りかかった。
部下たちも続く。
ヌザルムの重鋼部隊といえど、弾丸をまともに受け続ければ倒されてしまう。
レンガーは銃撃を狙っていた2~3人を斬り伏せたが、敵の数は増えるばかりだ。
そこへ稲妻の如く加勢があった。
「よしよし、防壁ご苦労!
・・・あとは任せろ!!」
そう言う間に、10も20も敵が薙ぎ倒されていった。
ウタックとハッボスの部隊による猛攻撃が始まった。