The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 05 節「獅子王の会座(えざ)」

第 27 話
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実際には花火を見てすぐ攻撃するのは早すぎる。
住民もミナリィ兵も逃げる時間がないからだ。

そこはシェブロンの指示で、先に小舟を上陸させる作戦になっていた。

上陸と誘導には、ルビレム配下のバミーナ、ナーズンという二人の女性戦士があたる。

すると、一人の老婆が架橋を渡って主艦に乗り移り、大声を張り上げた。

「ザンダ、バリアはどうする!
二人を捨て石にする気か!!」

振り返ったザンダはあまりの勢いに飛び上がった。
両肩を掴まれて、あやうく後ろに倒れそうになる。

老婆ヴェサだ。

「二人への攻撃はあたしが防ぐ。
援護もしようじゃないか。」
「ばあちゃん、無茶しちゃだめだよ。」
「何が無茶なものか!
槍でも鉄砲でも持ってくるがいい・・・!!」

シェブロンが仲介に立った。

「ヴェサさん、心強い限りです。
彼女たちの援護をお願いしますが、フィヲに会うまで、どうかお体だけはご自愛ください。
万一、接近戦になった場合、“LIFE”の魔法陣が有効です。
魔力の消耗がありません。」

出陣を許されると、急に涙もろい近頃のヴェサに戻った。

バミーナとナーズンが声を励まして誓う。

「上陸後はわたしたちがヴェサさんを必ずお守りします。」

それぞれが船に乗り込むと、ザンダは主艦の脇に降ろされた小舟の所へ行った。
動力は積んでいるものの、奇襲するには速度が足りない。

ザンダが魔法で飛ばすのである。

「右翼の艦隊がすぐに上陸する。
それまで住民を避難させながら東の森へ抜けてくれ。
そこにLIFE騎士団のみんながいる。」

女性兵士二人が頷き合った。

「ザンダ、油断するんじゃないよ。
くれぐれも先生にお怪我のないように。
・・・あとのことは任せたからね。」

勢いよくボートが水上を滑走していった。

早くも港から銃撃が起こる。

ヴェサのバリアで守られ、一気に陸まで飛び移ったナーズンは敵地へ駆け込む。
バミーナがヴェサを抱き上げて上陸した。

彼女たちの戦いをよく知るムゾール=ディフが双眼鏡を見ながら合図した。
開戦を知らせる花火が3発打ち上がる。

ズドーン。

ハムヒルドの艦から強力な砲弾が港へ打ち込まれると、陸地の一部が崩れ落ちて海に流れた。
港は混乱状態となり、ナーズンとバミーナの声に、人々は北を指して走り、王国兵らが立ち塞がってきた。

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