第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 05 節「獅子王の会座(えざ)」
ファラには強い思いがあった。
『まだ先生を知らない世代も含めて、全て弟子の手で無事にお迎えするんだ。
こんなにたくさんの人が“LIFE”に目覚め、生き生きと活躍していますって、ご報告するんだ。』
そのためには、絶対に犠牲を出してはならないと心に決めていた。
『我が身はどうなっても構わない。
ぼくは“LIFE”を守り、“LIFE”の力で突破口を開く騎士じゃないか。
今までもそうしてきたし、これからもそうしていく。
こんなに光栄なことはない。
今度こそテンギと決着をつける。
あいつの生命の闇を光で満たせるか、ぼくが死ぬか、どちらかしかないんだ・・・!!』
テンギを一手に引き受けるという。
それならばホッシュタスはどうするのか。
ルアーズが話し出した。
「わたしたちがこんなに早くリザブーグへ着けたのは、他の仲間たちが道中、先に行かせてくれたからなの。
コダリヨン、ラゼヌター、メッティワ、リルー、オオン、ジシュー、ズンナーク。
みんなここへ向かっているはずよ。」
「それは頼もしい・・・!!
みんな元セト国の将じゃないですか。
マーゼリア大陸のために来てくれるなんて。」
ファラはテンギ以外の脅威について語った。
「まずホッシュタスはテンギの心と体を操る、極めて危険な術士です。
フィヲに頼みたいんだけど・・・。」
フィヲはすぐ声を出しかねた。
ファラがテンギと戦うというのに、自分は別の所で戦わなければならないのか。
「ファラくんに魔法があるなら別にそれでも構わないけど・・・。
途中で体力が切れたらどうするつもり!?」
こう語気を強めるのである。
ルアーズは笑って言った。
「ファラくんとフィヲちゃんがセットでいるように、ホッシュタスとテンギもセットなんじゃない。
隠れていたら捕まえてきて、2対2で戦ったら?」
フィヲが笑った。
ファラも承諾した。
「悪魔使いフィフノスの正体は『鬼』です。
どんな手を使い、どんな力を出してくるか分からない。
ただ、彼が作り出した合成悪魔は倒されているそうです。」
3体中、2体を目にしたことのあるタフツァが聞いた。
「カコラシューユ=ニサーヤは!?」
「ヱイユさんが倒しました。
ですが、瀕死の状態でヒユルという女に憑依したんだとか。」
「なんだって・・・。」
フィヲがメレナティレで見たままを話す。
「ヒユルはヱイユさんをかばって、おそらくは、・・・もう死んでしまったはずよ。」