The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 05 節「獅子王の会座(えざ)」

第 22 話
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リザブーグ城では午後の会議が始まっていた。

昼食後、メレナティレへ向け、新設の第十一部隊と第十二部隊、サウォーヌからピスムとワダイルがすでに出発している。
また、ミナリィ港へ向け、先発隊の第二・第六部隊が発ち、第三・第十部隊もまさに発とうとしていた。

ナズテインの第一部隊とレヂョウの第九部隊が最後まで残り、他のLIFE騎士団は先発隊に続いて出られるよう、準備にあたっているところだ。

ノースイーストタウンで黒ローブの術士らが騒ぎを起こしたことについて、会議の場へも報告が入り、ナズテインの決済で騎士団を動かすことになった。

負傷した者は治療を受け、暴れる者は捕縛された。
両手両足を縛られてもなお詠唱して反抗する者には布を噛ませた。
町の地下にある獄舎へ全員を収容する。

ルアーズ、サザナイア、アンバスを連れて、ファラとフィヲも戻ってきた。

「ご心配おかけしました。
すみません。」
「いや。
きみが動かなければ、町に危険勢力が潜伏していることすら分からなかったんだ。」

警備を強化するとともに、旧王都であるリザブーグの万民が一体となって決戦に備えるべきことが確認された。

ソマが発言に立つ。

「スヰフォス学師と元王国騎士の皆で町の警備と防衛にあたってもらう陣容は整いました。
それとは別で、町の人たちに会って、これからどんな戦いになるのか、丁寧にお話しして歩く人が必要になると思うの。」
「そうだね。
ソマ、人選して引き受けてくれないか。」
「わかったわ。」

彼女はヤエに協力を求めた。
舞踏剣士のベーミラと、格闘パフォーマーのデグランも加わる。

「4つの城下へ分かれて行きましょう。
まだ人数が必要かしら。」

ヤエもレボーヌ=ソォラの出身でありながら、ここへ来てからずいぶん歩き回って調査したものだ。
とても一人が一つの町の住民全てと会うことはできない。

「お話しをしながら、積極的に協力してもらえる人には近隣のおうちやお友達にも話してもらうのがいいでしょう。」

ここまで決まったところで、タフツァは更に頭を悩ませていた。
当然、敵の全軍あげてターゲットとされるであろうリザブーグで、果たして対外の態勢は万全と言えるだろうか。

ファラはタフツァが何を考えているか察して言った。

「タフツァさんにはここで全軍の指揮を執っていただきたいんです。
先生をお迎えする準備も。
その上で、敵は、未知の相手も含めてあまりに多く、手強いです。
そこで、首領クラスをターゲットにした『マーク戦』を敷くのはどうでしょう。」

穏やかなようだが、ファラの目は宿敵との決戦を思い浮かべて燃え立つようだった。

「きみとフィヲ、それから・・・。」
「ルアーズです。」
「私はサザナイア。」
「アンバスと言います。」

タフツァの表情が少し明るくなった。

「そうだね、ファラくんに、対外戦線の一切をお願いしてもいいかな。」
「お任せください。
全て、町の外で決着してみせます。」

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