The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 05 節「獅子王の会座(えざ)」

第 18 話
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細い街路を抜けて、二人は洋裁屋に至った。
中では10歳くらいの女の子が一人で店番をしており、棚に並べられた多彩な生地はフィヲの目を引いた。

ファラは彼女が夢中になっている間に、出入口寄りに立った。
扉の隙間から外の様子を伺う。

「お客さん、何してるんですか?」

少女が問いかける。

「ああっ、心配しないで。
悪い奴が来たらやっつけてあげるからね。」

そう言われると急にこわくなったようで、少女は泣きそうな顔をした。

「ねえ、ファラくん、これどう?」

ファラは少女が泣いて大声を出すとまずいので、近くに行って懸命になだめた。

「ねえってば!」

まさかこの場面でフィヲまで感情を出してくるとは。

「あ、ごめんごめん!」
「もう!」
「その色、きれいだね。」

しばらくフィヲは顔をそむけて黙ってしまった。

「お嬢ちゃん、おうちの人は?」
「仕入れに行ったの。」
「そっか・・・。」

窓ガラス越しに黒いローブの男が見えた。
すでにこちらに気付いているらしい。

単独で出れば戦闘は避けられないだろう。
といって、少女を盾に取られるわけにはいかない。

ファラは多少焦りを感じたが、落ち着いてフィヲの側に寄っていった。

本当は急いで品物を選びたい。
しかし、決戦のための装備を作るのである。
時間がないからこそじっくり選ばなければならない。

「フィヲ、さっき、きみも見ただろう?
ほら、窓の外に黒ローブが。」

彼は少女をこわがらせないよう、フィヲにだけ聞こえるように言った。

「わかってるもの。」

ファラはフィヲの肩に触れた。
本当はいとおしくて、いつまでも触れ合っていたい。

「ねえ、二人は、こいびとどうしなの!?」

ファラはドキッとした。
が、フィヲは機嫌を取り戻した。

「・・・そう、見えるかしら?」
「うん。」

この時からフィヲが少女の相手をするようになった。

黒ローブたちは何をしてくるか分からない。
どうにか敵を一手に引き受けて、二人を脱出させられないだろうか。

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