第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 04 節「後継の時」
黒い翼の魔人たちがふわふわと舞っていたのに対して、突如、バサバサと羽ばたいて、ズシンと地面に降り立ったものがあった。
巨大なトカゲ型のモンスターだ。
太古の爬虫類のように、大型の翼を持っている。
『こ、こいつは・・・、合成獣じゃないな。』
魔人たちが叫んだ。
「ニムオー、殺れ、殺っちまえ!」
「八つ裂きにしろ!」
LIFE騎士が追いまくって魔人に戦いを挑んでいく。
ニムオーと呼ばれた怪物は、翼から次々に衝撃波を起こしてファラに攻撃してきた。
『だめだ、この小さな盾じゃあ、防げない・・・!!』
ついに魔法を使ってしまった。
盾に一回り大きい「アンチ・トゥウィフ」をかけた。
やっとのことで近付いて剣を一振りすると、怪物は飛び上がって空へ逃れた。
あまり魔力を使えないファラは、自分も飛翔するということは思い止(とど)まってしまう。
翼竜相手に空中戦をするなら、一度全回まで戻したい。
どんな攻撃が来るか分からないので、吸収を込めたロニネで身を守った。
すると次の瞬間、ごろごろと空で不穏な響きが起こって、ファラの頭上へ目掛けて雷電が迸った。
ロニネを張っていなかったら身を裂かれただろう。
だがかえって、強大な魔法力が注がれたため、ファラも発動に対して強気になってきた。
相手から奪えば全回までもっていけるかもしれない。
『まずは身動きを・・・。』
地面の石や土が浮上した。
かわりにニムオーが大地へ引き寄せられた。
バチバチとエネルギーの暴発が起こり、電撃のように光を放っている。
「グオオオオオオン!」
ソマがよくやるように、ファラは相手の魔力をいったん大地へ吸わせることで、動きを封じた。
活動に必要な力が、瞬間瞬間に奪われるため、もはや飛翔もできなければ、這うことも歩くこともできない。
ただ苦しそうに唸り声を上げるだけである。