第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 04 節「後継の時」
視界に敵の姿が飛び込んできた時、ファラは真っ先に駆けて行って交戦した。
部隊の騎士たちも加勢しようとする。
「みんな!
相手が誰であっても、殺傷することはLIFE騎士団の意思に反する!!
第一に、戦意を失わせることだ!!」
黒い翼の剣士を一太刀で倒しながらファラが言う。
「すごい回復力だ・・・!!」
「もうあんなに動けるなんて。」
ふわふわと舞い降りる魔人たちを、ファラは無刃刀で突き上げ、払い落し、両足を掴んで地面に叩き付けた。
殊(こと)に彼はコウモリの翼を見ると激怒した。
背後をとって翼の根元を掴み、背中を蹴飛ばした。
「こんなものが何の役に立つ!?
お前なんかがつけてても無駄なだけだ!
・・・動物たちの生命を返せ!!」
やられた者は翼の骨も折れ、ただ大声で叫んでいたが、他の魔人が言った。
「元々一つであったものが、元通りになったに過ぎぬ。」
ファラは鋭く睨みつけた。
昂然と腰へ一撃を入れ、立てなくした。
その背中も強蹴する。
「ふざけたことを言うな・・・!!
まだ口の減らない奴は、来い!!」
魔人たちがファラ一人を標的に飛び掛った。
正面からの敵と背後からの敵をぶつけ合わせた後、右へ肘を、左に拳を叩き込む。
打たれた敵が、後続の敵との間にクラッシュして戦闘不能になった。
選抜騎士団のメンバーも剣を振るう。
両刃刀の場合は側面で打った。
ファラの周りに魔人の群れができている。
新たなLIFE騎士たちが斬り崩しにかかった。
「このおっ・・・!!」
ファラが“フィナモ”の剣撃を繰り出すと、炎の現象は起こらないが、斬られた敵は全身火ダルマになった幻覚を見た。
“テダン”の剣撃は取り巻く魔人たちを突き抜けて外まで届いた。
「さあ、来い・・・!!」
一太刀、敵の剣が凍り付き砕け散った。
二太刀、鎧が体に食い込むほど打ちのめした。
三太刀、無数の剣閃が向かい来る全ての者を切り刻んだ。
四太刀、風の刃が放射状に広がった。
五太刀、まだなお戦意を抱く者たちを遠く弾き飛ばした。
「魔法が・・・、剣の中で生きている・・・!!」